賃貸で外国人を受け入れるのはあり?トラブルを未然に防ぐ方法を解説

投稿日2020/10/17
更新日2020/10/21
外国人

アパート経営やマンション経営といった不動産経営を行っているオーナーの中には、外国人を受け入れるべきかどうかで悩んでいる人もいると思います。

外国人を受け入れた場合、需要を確保できるようになるため、空室に悩むオーナーにとっては空室対策の1つと言えます。しかし、外国人を受け入れたことによってトラブルに巻き込まれるケースも多いため、よく考えてから外国人の受け入れを決めることが重要です。

この記事では、外国人を受け入れることに悩んでいるオーナーに向けて、賃貸で外国人を受け入れるのはありなのか、またトラブルを未然に防ぐ方法について解説します。

空室対策として検討すべき外国人の受け入れ

アパート投資やマンション投資などの不動産投資では家賃収入を継続的に得られるのが大きな魅力ですが、家賃収入を得られることが必ず保証されているというわけではありません。

空室が長引いた場合は家賃収入が得られず、キャッシュフローが悪化して不動産投資の継続が困難になる可能性があるので注意が必要です。

不動産投資を成功に導くためには、入居率を高く(空室率を低く)維持することが重要です。しかし、現在の日本は少子化による人口減少が原因で需要が低下しており、不動産投資家には厳しい状況が続いています。

そこで注目されているのが外国人の受け入れです。外国人は日本語が通じない、各国の文化の違いといった理由でトラブルが生じる可能性が高く、外国人の入居拒否を選択するオーナーも多いのが現状です。

外国人を受け入れた場合、上記のように住居の確保が困難で悩んでいる外国人の需要を新たに確保できます。

空室対策には多額の費用が必要な方法も多いですが、外国人を受け入れるという方法であれば基本的には費用がかかりません。そのため、費用を抑えながら空室対策を行いたい大家さんにピッタリな空室対策と言えるでしょう。

外国人の受け入れで起こりうるトラブル

外国人同居

空室が生じている物件で外国人を受け入れれば空室が埋まる可能性が高まるため、「どんどん外国人を受け入れよう」と考えているオーナーも多いのではないでしょうか?

しかし、外国人を受け入れる際に、何の対策も練らないままどんどん受け入れた場合、言葉や文化の違いが原因でトラブルが生じる可能性があります。その結果、トラブルが原因で経営の継続が困難になる可能性もあるので注意が必要です。

外国人を受け入れながら安定した経営を目指すには、起こりうるトラブルをしっかり把握し、事前に対策を練っておくことが重要です。

外国人の受け入れで起こりうるトラブルとして、以下の4つが挙げられます。

  • 騒音
  • ゴミの分別
  • 多人数同居
  • 家賃滞納

それぞれのトラブルについて詳しく見ていきましょう。

騒音

外国人を受け入れる際に起きやすいトラブルの1つに、騒音トラブルが挙げられます。日本ではパーティやイベントといった一部の例外を除いて、部屋に大人数で集まって騒ぐということはほとんどありません。

しかし、外国人の場合は、パーティやイベントに関係なく、コミュニケーションの一環として部屋に大人数で集まって騒ぐことが多いため、騒音トラブルが生じやすいと言えます。

「文化が違うので対応が難しい」と大家さんが何も対応せずに放置した場合、他の入居者の不満が募って退去者が増える可能性があります。

ゴミの分別

日本は毎週〇曜日に燃えるゴミ、〇週目の△曜日がペットボトルなど、ゴミの分別のルールが決まっています。しかし、外国人の中にはゴミの分別のルールが分からない、守らないことが原因でトラブルに発展することもあります。

国によっては燃えるゴミと燃えないゴミの分別が明確でない、回収日が決まっていないことも珍しくありません。そのため、入居者の国籍によっては、自国との違いに適応できず、ゴミの分別を誤ってしまう人もいます。

時間帯を守らずに出した場合、害虫や害獣に荒らされる、回収されずに異臭が発生するなどのトラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。

多人数同居

賃貸物件は正しい利用方法によって建物の劣化を抑える、入居者トラブルを未然に防ぐために様々な使用上のルールが定めています。利用者の人数もその1つです。しかし、外国人は勝手に部屋をシェアして、多人数同居を開始しているケースがあるので注意が必要です。

「他のトラブル事例と比べた場合、第三者への影響が少ないので放置してもいいのでは?」と思った人も多いのではないでしょうか?

しかし、多人数同居は騒音問題に発展する可能性が高い、又貸しによって面識のない第三者が部屋を使用していて契約関係が把握できなくなる可能性があります。

また、外国人は入居拒否される可能性が高いため、外国人を受け入れると他の入居拒否された外国人が押し寄せてくることも。

多人数同居を放置した場合、洗濯機の使用時間や使用回数が増えて騒音トラブルに発展する、又貸しになって大きなトラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。

家賃滞納

外国人に限った話ではありませんが、家賃滞納にも注意が必要です。外国人の雇用は日本人の雇用よりも不安定なケースが多く、解雇されて家賃滞納に陥る可能性が高いと言えます。

「家賃滞納は契約違反に該当するので追い出せばいい」と思った人も多いかもしれませんが、賃貸契約では貸主より借主の立場を守る傾向があります。支払う意思がある、軽微な滞納では入居者を追い出すことができません。

3カ月以上滞納するといったように支払う意思のない悪質な滞納であれば、入居者を追い出せる可能性が高まります。しかし、悪質な外国人の中には、家賃を滞納したまま帰国してそのまま音信不通になることも

家賃を滞納したのが日本人だと裁判で滞納家賃の支払いを請求できますが、外国人だと裁判を行いたくても帰国されていては請求できないので諦めるしかありません。敷金の範囲内で原状回復できなかった場合、その分の費用もオーナー負担になるので注意が必要です。

トラブルを未然に防ぐ方法

外国人連帯保証人

外国人を受け入れることで安定した需要が期待できますが、しっかり対策を練っていなければトラブルに巻き込まれるリスクがあるので注意が必要です。

トラブルを未然に防ぐ方法には、以下の3つが挙げられます。

  • 重要事項を分かりやすく説明する
  • 連帯保証人をしっかりつける
  • 外国人対応可能な管理会社に管理を委託する
  • 外国人の特徴を把握しておく

それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

重要事項を分かりやすく説明する

トラブルを未然に防ぐためには、部屋を使用する際のルールをしっかり理解してもらう必要があります。そのため、重要事項を分かりやすく説明することが重要です。

入居者募集で入居希望者が現れた場合、入居申込書に必要事項を記入してもらい、その情報に基づきながら入居審査を行います。入居審査に問題なければ、重要事項説明と賃貸借契約書の作成に移行します。

重要事項説明を行う、賃貸借契約書を作成する際は、室内は土足禁止、多人数使用の禁止など使用上のルールを説明する、書類に使用上のルールを明記しておくことが重要です。

口頭による説明だけでは、「そのような説明を受けていない」とトラブルに発展する可能性があります。チェックリストをしっかり作成して本人に署名をもらうようにすればトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

連帯保証人をつける

家賃滞納トラブルを未然に防ぐためには、連帯保証人をつけることが重要です。連帯保証人をつけずに賃貸契約を締結した場合、家賃滞納や原状回復費用を徴収できないなどのトラブルが生じても、費用を回収できないリスクが高まります。

しかし、連帯保証人をつければ、連帯保証人に費用を請求できるため、回収できないリスクを抑えることが可能です。

連帯保証人は誰でも良いわけではありません。連帯保証人が外国人の場合、実在しない架空の人物である、トラブルが発生しても入居者とともにいなくなる可能性があります。

そのため、連帯保証人は、日本人または日本で長く働く外国人、雇用先の会社の従業員など信頼できる人物であることが重要です。

連帯保証人をつけると言っても、連帯保証人になってくれる知り合いがいないという外国人も多数います。その際の選択肢として、家賃保証会社を利用するという方法が挙げられます。

家賃保証とは、家賃保証契約を締結した契約者が万が一家賃を滞納した場合、代わりに家賃を大家さんに支払ってくれるサービスです。

家賃保証会社を利用すれば、家賃滞納のリスクを抑えられますが、外国人は家賃滞納リスクが高いという理由で外国人は対象外としているケースもあります。外国人を対象としているのか事前にしっかり確認しておきましょう。

外国人対応可能な管理会社に管理を委託する

外国人を受け入れる際は、外国人対応可能な不動産管理会社に管理を委託するのもトラブルを未然に防ぐための重要な対策方法です。

管理会社の中には、外国人留学生や労働者の増加にあわせて英語や中国語などの複数の言語を話せる従業員を常駐させるといったように、外国人の受け入れに特化した管理会社もいます。また、管理会社だけでなく、外国人専用のコールセンターや外国人専門の保証会社もあります。

外国人トラブルを少しでも抑えたい人は、これらのサービスを活用するのも選択肢の1つと言えるでしょう。

外国人の特徴を把握しておく

全ての外国人が賃貸でトラブルを起こすというわけではありません。外国人の賃貸トラブルを未然に防ぐには、外国人の特徴を把握しておくことが重要です。

例えば、中国や韓国といったアジア系の人たちは大人数で集まってパーティを開催するという習慣がありません。そのため、部屋を貸し出しても騒音トラブルが生じにくいと言えます。

一方、イギリスやアメリカといった欧米系の人たちは定期的にパーティを開催する、イランやサウジアラビアといった中東系の人たちは頻繁に集まって食事をする習慣があるため、騒音トラブルが生じやすいので注意が必要です。

国籍が同じでも、属性によって特徴が異なります。例えば、社会人は忙しくて集まりにくい、収入が安定しているので家よりも居酒屋を利用するケースが多いと言えます。

一方、学生は時間に余裕があるので集まりやすい、支出を抑えるために宅飲みを開く可能性が高く、大騒ぎへと至る可能性が高いので注意が必要です。

国籍や属性などからどのようなトラブルが生じるのか見極めることができれば、入居者に使用上のルールを的確に説明できるようになります。その結果、トラブルを未然に防ぎながら外国人を受け入れられるため、安定した賃貸経営を行えるでしょう。

トラブルが生じた場合の対応方法

弁護士

これから外国人を受け入れるという大家さんは、上記の対策を練れば外国人トラブルを未然に防ぐことが期待できます。

しかし、大家さんの中には、既に外国人を受け入れていて、トラブルが生じて困っている人も多いと思います。そのような大家さんはどのように対応すればいいのでしょうか?

トラブルが生じた場合の対応方法として、以下の3つが挙げられます。

  • トラブルが続く時は契約解除になると伝える
  • クレーム対応をしっかり行う
  • 専門家に相談する

それぞれの対応方法について詳しく見ていきましょう。

トラブルが続く時は契約解除になると伝える

騒音や多人数同居といったトラブルが生じた場合、その状況が継続すると契約解除になる旨を入居者にしっかり伝えることが重要です。

外国人入居者の中には、これらのトラブルを起こした場合、注意されてから対処すればいいと安易に考えている人も多くいます。このような認識を持たれた場合、いつまで経っても根本の解決に至らず、トラブルが悪化する可能性があるので注意が必要です。

そのため、トラブルを起こす外国人入居者には、どのような行為が禁止されていて、それらの改善が見られなければ契約解除に至ることを毅然とした態度で伝える必要があります。

自分たちの国で認められていることでも、日本では日本のルールに従わなければ追い出される可能性があるということを伝えれば、悪質入居者の改善が期待できるでしょう。

クレーム対応は速やかに行う

外国人入居者がトラブルを起こした場合、隣近所のクレーム対応を速やかに行うことも重要です。

騒音や多人数同居などのトラブルが生じた際に、トラブルを解決することに注力しすぎると、被害を受けた隣近所の入居者の対応が疎かになります。

その結果、被害を受けた入居者の不満が募り、退去に至る可能性が高まります。入居者退去が増えた場合は、安定した家賃収入が得られず、キャッシュフローの悪化によって経営の継続が困難になる可能性も。

安定した賃貸経営を継続するためにも、被害を受けた入居者への謝罪と今後どのような対応を予定しているかなど、クレーム対応をしっかり行うことが重要と言えるでしょう。

専門家に相談する

外国人トラブルへの対応は知識と経験が必要なので、専門家に相談した方がスムーズに問題を解決できます

例えば、外国人トラブルに強い管理会社に相談する、法的なトラブルが発生した場合や裁判に発展するようなケースでは法律の専門家である弁護士に相談するなどです。

対応方法を誤った場合、他の入居者の不満が募って退去に至る、外国人入居者から損害賠償を請求される可能性があります。リスクを抑えながらスムーズに解決へと導きたい人は、報酬を支払ってでも専門家に相談した方が良いと言えます。

支出を抑えながら専門家のサポートを受けたいと考えている人は、初回無料相談に応じている弁護士事務所もあるため、うまく活用しましょう。

まとめ

日本は少子化によって年々人口が減少しており、需要の低下によって不動産投資家には厳しい状況が続いています。そのため、安定した不動産投資を行うには、何らかの空室対策が必須と言えます。

日本の企業に勤務する外国人労働者の数は増えており、外国人の受け入れを行っている物件は多くありません。そのため、外国人の受け入れを行えば、新たな需要を確保できることから、安定した不動産投資が期待できます

しかし、外国人を受け入れる場合、文化の違いや言語の違いなどで騒音や多人数同居といったトラブルが生じやすいので注意が必要です。

外国人トラブルを放置するとトラブルが悪化する、隣近所の不満がつのることもあるため、安定した賃貸経営を行いたい人は、トラブル実例と対応方法をしっかり確認しておきましょう