賃貸物件のオーナーチェンジトラブルを避けるための4つの注意点

投稿日2020/11/05
更新日2020/11/05
オーナーチェンジ

オーナーチェンジ物件を運営することで、どんなトラブルが予測されるのかお悩みではありませんか?購入後すぐに家賃収入を得ることができますが、隠れているトラブルに気づかず「後悔した」という人も少なくありません。

できれば予測されるトラブルを事前に避け、安全な経営をしたいものです。

本記事では、賃貸物件のオーナーチェンジトラブルを避けるための4つの注意点についてご紹介いたします。これから中古アパート経営やマンション投資を検討している人は、ぜひ当ページを参考にしてください。

オーナーチェンジ物件の特徴と注意点

オーナーチェンジ物件とは、すでに居住者がいる中古賃貸物件のこと

大家である所有者だけが変わる(チェンジする)ため、オーナーチェンジ物件と呼ばれています。収益物件の売買のうち、1室でも入居者がいればオーナーチェンジ物件と呼ばれ、反対に全室空室であれば、オーナーチェンジ物件とは呼びません。

売買契約時には、賃貸借契約はそのままに所有権だけが移るため、家賃収入をそのまま引き継げます。ただし、オーナーチェンジ物件を運営するためには、この既存の入居者と上手に付き合っていく必要があります。

オーナーチェンジ物件は投資初心者や自己資金が少ない人におすすめ

オーナーチェンジ物件の運営は、以下のような不動産投資家に向いています

  • 不動産投資初心者
  • 自己資金が少ない人

オーナーチェンジ物件は、全オーナーが締結した賃貸借契約書や敷金返還義務も受け継ぎます。通常、新築の投資物件を購入すると、新たに借主を募集し入居が決まるまで賃料を得ることはできませんが、オーナーチェンジ物件は物件を購入した月から家賃収入を得ることが可能です。

このことから、投資経験が少なく自己資金が少ない人におすすめの物件と言えます。

オーナーチェンジ物件は入居者とのトラブルが起こりやすい

しかしながら、投資にはリスクがつきものです。投資初心者におすすめの物件とはいえ、リスクがゼロという訳ではありません。前オーナーが賃貸物件を高く売るために、利回りを操作していたり、入居者との間に発生したクレームをきちんと引き継がなかったりするために、こうした入居トラブルが発生してしまうのです。

契約後に現状把握したときに「利回り計算が合わない」「契約後すぐに入居者退去が続いた」「悪質入居者がいた」といった問題が露見する場合もあります。

オーナーチェンジ物件でよくあるトラブル3つと運営デメリット

修繕

オーナーチェンジ物件を運営する難しさは「修繕リスク」「入居者リスク」に備えなければならないという点。これらのリスクは、収益性を下げるどころか、損失を大きくしてしまいます。

ここからは、オーナーチェンジ物件を運営する3つのデメリットについて解説いたします。

老朽化が早く修繕工事が必要になる

賃貸物件に限らず建物は新築した当初から劣化していくものです。築年数や耐震強度によっては、物件購入後すぐに修繕工事が必要になることもあります。

特に既存の入居者がいるオーナーチェンジ物件は、入居者の生活空間まで足を踏み入れることができません。そのため、既存入居者の室内の劣化に気づきにくく「思ったよりも修繕費用が必要になった」というケースも。建物自体に問題はなくとも、既存の入居者が部屋を乱雑に扱っていることで、想定よりも高額な修繕費用が必要になるかもしれません。

過去に大きなクレーム問題が発生していることも

過去に大きなクレームが発生し、問題が解決されないまま物件が売られているケースも少なくありません。悪質な入居者がいることや旧オーナーと入居者との間でもめ事が解決されないまま放置されていることもあります。

例えば「家賃滞納している入居者」「騒音を発生させる入居者」「近隣住民に迷惑をかけている入居者」などというクレームが代表的です。問題を長期化させてしまうと、退去者が出てしまう恐れもあるので、早めの解決が求められます

サクラの入居で利回りを操作されている可能性

中古賃貸物件の売主は、空室率を下げるために「サクラの入居者」を入居させている場合もあります

サクラ入居者とは、売却成立まで入居契約を交わし、オーナーチェンジ後に解約をする賃借人のこと。現在の収益性を高く思わせるために、サクラ入居者を住まわせる悪質なケースもあります。しかも、サクラ入居者は「仮の入居者」という証明が難しく、旧建物所有者に責任を問いにくいという特徴もある、やっかいな問題のひとつです。

オーナーチェンジ物件を購入する3つのメリット

ローン

このように入居トラブルが予測されるオーナーチェンジ物件ですが、新築物件よりは運営しやすいことには変わりありません。デメリットに備えメリットを活かせば、大きな利益をあげることも不可能ではないのです。

では、どのような点で運営がしやすいと言えるのでしょうか。ここからは、オーナーチェンジ物件を購入する3つのメリットについてご紹介いたします。

メリット1.収支計画が立てやすくローン返済がしやすい

オーナーチェンジ物件は、購入した月から家賃収入が発生するため、収支計画が立てやすいというメリットがあります。また新築と比べると平均して3割りほど安く購入できるという点も魅力的な要素のひとつ。借入額も少なくて済むため、ローン返済がしやすくなります。

また入居者が確保されている状態から経営を始めることができますので、満室の物件を選べば新たに入居者募集する必要もなく、広告宣伝費を削減することも可能です。

メリット2.収益性がある物件は融資を受けやすい

購入当初から家賃収入がある物件は、融資を受けやすいという特徴があります。不動産投資ローンを組む条件のひとつに「収益性の有無」があり、融資対象物件に収益性があるかどうか厳しくチェックされます。オーナーチェンジ物件は、はじめから家賃収入が見込めるため、融資を受けやすくなります

メリット3.過去の経営状況から運用計画が立てやすい

中古物件には、これまで運用してきたデータがあるのも大きな魅力のひとつ。この運用データを参考にすれば、今後の運用計画を立てやすくなります。

「これまでの家賃収入額」「修繕費用や箇所」「空室期間」「満室になるまでの期間」など、過去の入居データや修繕履歴が経営の参考になるでしょう。

オーナーチェンジ物件のトラブルを避けるための注意点4つ

災害リスク

中古のアパートや賃貸マンションは「収支計画や運用計画が立てやすい」ものの「想定外の修繕費用」「悪質な入居者」などの問題が浮上します。これが、オーナーチェンジ物件のトラブルの元と言われている要因のひとつです。

では、このようなトラブルを回避するための対策にはどういったものがあるのでしょうか。ここからは、オーナーチェンジ物件のトラブルを避けるための注意点4つを紹介します。

注意点1.レントロールで過去の運営状況を確認する

レントロールとは、賃料や共益費、賃借条件などが記載されている賃借表のこと。レントロールを見れば、現在の入居状況や家賃設定、そして物件の収益性を一目で確認することができます。

レントロールに記載されている内容一覧

  • 部屋の番号
  • 間取り
  • 契約者属性
  • 契約面積
  • 月額賃料(賃料/共益費/駐車場代)
  • 想定賃料合計
  • 敷金

レントロールで見るべきポイントは、以下の2つ

「設定賃料」「預り金の有無」を確認しましょう。物件を早く売りたいがために、レントロールの家賃を高く記載し、想定賃料を上げている売主もいます。設定されている家賃が近隣物件の相場と大きくかけ離れていないか、不動産会社の担当者に必ず確認しましょう。

また、預り金の有無も必ずみておきたい重要なポイントのひとつ。預り金とは、敷金のこと。敷金を預かっていない部屋は多いということは、敷金をゼロにしないと入居者が決まらない物件と判断できます。

近年では、敷金・礼金ゼロの「ゼロゼロ物件」が増えてきています。このゼロゼロ物件は、空室物件対策として有効的な手段のひとつ。しかし、中古物件を購入するときは、敷金があった方がより修繕資金を多く確保できます。もし敷金が少ないときは、修繕費用として物件購入金額を値引くという方法もあります。

このレントロールは、物件を購入するときに不動産会社から物件概要書とともにもらうことができます。

注意点2.修繕履歴から過去の工事履歴を確認する

修繕履歴とは、これまでに行った修繕工事の履歴のこと工事内容を確認し、今後発生しうる修繕リスクに備えておきましょう。修繕履歴では具体的に、以下のようなことがわかります。

大規模修繕履歴に記載されている内容一覧(工事個所・工事年月日)

  • 屋根の防水工事
  • 外壁塗装
  • 床防水工事
  • 鉄部等塗装
  • 共用内部の修繕
  • 給水設備の交換や工事
  • 排水設備対策
  • ガス設備の交換
  • 空調や換気設備
  • 電気設備
  • 通信設備設置や点検
  • 防災設備設置や交換など

修繕履歴から、確認できることは「修繕工事の内容」と「実施日」です。過去に大規模修繕が行われた時期から逆算して、次に大規模修繕を行う時期はいつなのかを知ることができます。

一般的に、大規模修繕の周期は12年建物の状況にもよりますが、建築後10年経過したら外壁や屋根の塗装、サッシの交換などが必要です。また、同じ部分だけが劣化するとは限りません。過去の修繕履歴から、次回はどの部分の修繕が必要になるか、その修繕にはいくらかかるのか、修繕履歴を参考に計画を立てていくことも大切です。

注意点3.既存入居者の過去のクレームを確認する

「家賃の滞納履歴」「他の入居者との関係」など、入居者の質は今後の経営に大きく影響します。これまでどんな経営難があったのか、把握しておきたいところですが、売却に不利な情報は、新オーナーに届きにくいものです。

このような場合は、旧オーナーが懇意にしていた管理会社に、過去のクレームや契約内容を聞いてみましょう。管理会社は過去のクレーム内容や対応した履歴を残していますので、悪質な入居者の情報を聞き出すことができます。

確認すべき情報は「クレームの有無」のみならず「クレームが解決しているかどうか」「クレーム対応の結果、何かの特約を結んだかどうか」です。過去のクレームが完全に解決していなければ、再度同じようなことが発生するかもしれません。さらに、クレームの結果家賃の値引き交渉が行われていれば、今後の収益にも大きく影響します。

クレームがどのような経過となっているのか、管理会社に確認し全貌を把握しておきましょう

注意点4.災害リスクはないかハザードマップをチェックする

地震や浸水被害で建物が滅失してしまう恐れも否定できません。災害リスクに備えるためには、事前の対策が必須です。

ハザードマップとは、国や自治体が公表している災害リスクに備えるための地図のこと。避難経路や避難場所を確認することができます。まずはハザードマップで、購入予定物件が「災害想定区域」となっているかを確認しましょう。

災害が発生しそう、もしくは災害リスクに備えたいときには、火災保険の加入がおすすめ一般的に、火災保険の特約として地震保険が存在しているため、セット加入しておくのがベストです。地震保険は建物のほか家財も対象となります。貸主にとっての「家財」とは、貸主自身が設置したエアコンや家電製品など備え付けの設備です。室内に家具を設置している賃貸物件であった場合は、こうした家財補償が重要な存在となるでしょう。

トラブルが少ないオーナーチェンジ物件を購入したいときは?

オーナーチェンジ物件で、トラブルリスクを軽減させるためには、事前のリサーチが重要です。そのため、自分ひとりで物件を探すよりは、不動産会社が提供している物件を探した方がサポートを受けることもできるでしょう。

不動産会社が提供しているオーナーチェンジ物件は、以下のような方法で探すことができます

  • 不動産ポータルサイトから探す
  • 不動産会社に仲介してもらう

不動産会社ポータルサイトとは、不動産会社が運営している物件紹介サイトです。物件の種類や立地、予算からオーナーチェンジ物件をインターネットで気軽に探すことができます。日ごろから不動産ポータルサイトに目を通し、物件相場や家賃相場を調べ、情報収集しておくと購入に役立つでしょう。多くのポータルサイトでは、サポートセンターが設置されていますので、購入に不安を感じたときは専門スタッフに相談もできます。

また、対面で詳しくオーナーチェンジ物件の購入について知りたいときは、不動産会社に直接出向くのも有効な手段です。不動産会社によっては取り扱い物件数が少ない業者もいますので、投資用物件の売買契約が可能かどうか、事前にメールや電話で問い合わせしてみるのがおすすめです。

まとめ

オーナーチェンジ物件は、投資開始時期から入居者や賃料が確保されているため「アパート経営をしたことがない」または「投資用マンションを運用するのがはじめて」という不動産投資初心者におすすめの投資物件です。トラブルが多いと思われがちなオーナーチェンジ物件ですが、修繕履歴や既存入居者との契約内容、そしてこれまでのクレーム対応の内容を把握できれば、次の対策を講じやすくなります。

現在、購入を迷っている物件があるのであれば、旧オーナーが契約していた管理会社に相談するのも有効な手段です。管理会社は過去のクレームや対応した内容を把握していますので、不安を解消するためにも、まずは管理会社に問い合わせてみましょう