賃貸管理の仕事内容とは?良い管理会社と判断できる5つのポイント

投稿日2020/09/07
更新日2020/10/20
管理会社

不動産会社にも、それぞれ得意分野があり、専門にしている業務内容が異なります。賃貸管理は投資物件や資産運用をメインとしており、不動産売買は土地を売り買いすることが主たる仕事です。

本記事では、数ある不動産会社の業務の中でも「賃貸管理の仕事内容」にフォーカスして、ご紹介いたします。

賃貸管理の仕事内容とは

賃貸管理

賃貸管理の仕事は、主に「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの業務に大別されます。

入居者との賃貸管理契約を締結する「ヒト(人)の管理」。さらに、建物の修繕を行う「モノ(モノ)の管理」。そして、家賃収入を受け取る「カネ(金)の管理」です。

では、具体的にどんな業務を行っているのでしょうか。3つの業務をさらに細かく分類してご紹介いたします。

人の管理

賃貸業務は、人なくして利益を得ることができません。借主を探し、物件に入居させてから退去するまで見守ること。これが賃貸管理業務のひとつです。この人の管理に関する業務には、以下のような仕事があります。

入居者募集

入居者募集とは、空室となっている賃貸住宅に人を案内し、入居契約を決めてもらうことです。入居が決まらなければ家賃収入は入ってきません。そのため、いかにスムーズに入居を決められるかが、重要なポイントなのです。

管理会社によって入居者募集業の仕事内容に違いがあります。チラシを作成する業者やウェブサイトで物件情報を公開したりする会社など、その会社によって宣伝業務が変わってきます。知名度が高い不動産会社であれば、口コミなどで入居者が集まってきますが、認知度が低い不動産会社はスタッフが営業することもあります。

クレーム対応

入居者からの様々なクレームに対応するのも、賃貸管理業務のひとつ。例えば「隣に住んでいる人がうるさいから注意して」「ゴミ置き場でゴミが散乱しているから片づけて」など、トラブルの仲裁に入ることもあります。

クレームが発生した場合、状況に応じて入居者の話を聞きに行ったり、故障などに対処してくれる業者を手配したりすることも。ただし、物件オーナーの意見を無視して勝手に処理することはできません。必ずオーナーの許可を取った上で、クレーム対応に臨みます

入退去管理

入退去管理とは、どの物件に誰が入居しているのかを把握し、どのタイミングで契約が終了するのかを管理する仕事です。入居契約書を作成したり、退去通知を出したりなど。また、できるだけ長く契約を継続してもらうために、契約更新をおすすめすることもあります。

スムーズに対応してくれる管理会社は、どこの物件に誰がいつ入居したのか、入退者情報をきちんと把握しています。数百~数千ある物件名を覚え、自分が案内した入居者はどの辺りで暮らしているのか、頭の中に入居者データを入れておかなければ、迅速なトラブル対処ができないからです。

建物の管理

建物が劣化したり設備が故障したりしたときに、対処するのが建物管理の仕事です。住んでいる人に快適な環境を提供できるよう、建物や敷地内の管理を行います。建物管理の業務内容は、以下の通り。

原状回復

原状回復とは、入居者が退去した後に修繕工事を実施すること。前の入居者が汚した室内を清掃したり、破損した部分の修繕を行ったりします。実際に工事を行うのは、ハウスクリーニング業者など外部の専門業者ですが、損傷部分を確認し修繕するための指示を出すのは、賃貸管理会社の仕事です。

原状回復工事では、室内全体を清掃するハウスクリーニングのほか、必要に応じてクロスや設備の交換も行われます。扱いの悪い入居者がいた場合、特殊清掃や専門の設備屋さん探しが必要になることもあります。

業者の手配

上記の「原状回復工事」の項目でも説明した通り、業者の手配も賃貸管理の仕事のひとつ。クレームや原状回復工事のために、状況を把握し、適切な業者に依頼を出す業務です。

業者の手配自体は、電話一本で済む話ですが、重要になるのはオーナーへの必要経費の報告。修繕費用を支払うのは、管理会社ではなくオーナーです。ただオーナーに費用を請求するだけでなく「なぜその業者を選んだのか」「費用対効果はあるのか」など、費用以外にもきちんとした根拠を提示できるかどうかも、管理会社の大切な仕事のひとつなのです。

見回りや清掃

物件を見回り、建物や敷地内の清掃を行うのも、管理会社の役割。定期的に建物を見回り清掃することを、巡回清掃と言います。賃貸住宅の清掃は、見た目の清潔さのみならず資産価値を維持するために、重要な業務です。

巡回清掃は、管理会社によって実施回数が大きく異なります。管理物件数やスタッフ数によって、巡回清掃できる頻度が限られているからです。

お金の管理

家賃収入や修繕費用などの、収入と支出を管理するのも、賃貸管理の仕事です。以下のような仕事は、お金の管理業務に含まれます。

家賃の集金や督促

入居者から毎月家賃を集金し、オーナーの口座に送金するのが、家賃集金の仕事です。家賃以外にも、駐車場代や共益費、町内会費の集金も行います。

もし、家賃の支払いがなかった場合には、入居者に督促をかけることもあります。ただし、保証会社が間に入っているときは、この一連の業務を保証会社が請け負うこともあります。

原状回復費用の請求

入居者が退去したときに行う原状回復工事。このときかかった修繕費用を借主や貸主に請求するのも、賃貸管理業務のひとつです。

原状回復工事の話し合いの中で、しばしば「入居者が費用負担する割合はどのくらいか」という問題が発生します。どの部分をどの程度修繕するかは、契約内容により異なりますが、法律的な要素も複雑に絡み合う問題。このような問題に対処するためには、管理会社は仕事のみならず法律知識を保有していることが求められます

良い管理会社と判断できる5つのポイント

管理会社

不動産投資は、管理会社の手腕にかかっていると言っても過言ではありません。良い管理会社は収益を増やしてくれるだけでなく、資産価値を維持してくれる大切なパートナーです。

良い管理会社とは「依頼した業務をしっかりと行ってくれること」ではありますが、一体どの辺を見れば「業務をこなしている」と判断できるのでしょうか。そこで、ここからは良い管理会社と判断できる5つのポイントについてご紹介いたします。

ポイント1.収支管理状況が見える化してある

収支管理状況とは「家賃収入がどのくらいか」「修繕費用はどのくらいかかったか」など、収入と支出状況のこと。賃貸建物は、物件オーナーの所有物。家賃収入や建物維持にかかった費用などは、きちんと報告されていなければいけません。

報告は口頭のみならず、書面かウェブで確認できることが、良い管理会社である重要なポイント。「ざっくりこれくらいかかりそうです」と、曖昧な報告では信頼できる良い管理会社とは言えません。どの物件のどんな修繕にどのくらいの費用がかかったのかなど、見える化できているかどうか確認してみましょう。

ポイント2.レスポンスが早い

レスポンスとは、対応や返事のこと。賃貸管理では、対応の遅さが大きなクレームに繋がることがしばしばあります。入居者からのクレーム対応や業者の発注は、1日連絡が遅れるだけで、問題が長期化してしまうこともあるのです。そのため、問い合わせに対する返信が早い会社は、良い管理会社と判断できます

賃貸管理はオーナーの大切な資産を預かるのですから、何かあれば琢一報告して当然です。しかし「電話に出ない」「メールの返信が遅い」のでは、安心して資産を預けることができません。

ポイント3.業者の手配が早い

レスポンス同様に、業者の手配が早いことも重要なポイントです。修繕対応は時間がかかるもの。手配が早ければ、早期のクレーム解決や空室対策にも繋がります。

入居者からエアコンや水回り設備が故障したとクレームが発生したとき、業者への手配が遅ければ、大きなトラブルへと発展してしまう恐れもあります。また、修繕対応が遅くなることで、建物が傷んでしまうことも。入居者と建物を守るためにも、業者に対して迅速に対応できるかどうかもチェックしていきたいところです。

ポイント4.巡回清掃の費用対効果が高い

巡回清掃は、空室対策や資産維持に必要な業務のひとつだとご説明してきました。確かに、清掃の頻度が高ければ、物件をキレイにできます。しかし、清掃頻度が多い割にキレイになっていなかったり、同じ場所ばかりを何度も清掃していたりするのでは、清掃の意味がありません。

安くない管理費用を支払っているのですから、その額に見合うだけの働きをしてほしいものです。巡回清掃後、建物の共用部分や敷地内を見渡し、きちんと清掃されているかどうか確認してみましょう。

ポイント5.空室対策に関して適切な提案がある

空室期間が続いたときに、どんな対策をとればいいのか提案してくれる会社は、頼れる管理会社と判断していいでしょう。ただし、空室対策に関して、オーナーの利益が下がるような提案ばかりしてくるのは、良い管理会社とは言えません。

例えば、家賃の値下げ提案。確かに空室が埋まらないときに、家賃を下げるのは効果的な空室対策です。しかし、一度下げてしまった家賃は、簡単に上げることができません。次々と家賃の値下げ交渉をされてしまったのでは、オーナーの利益が少なくなってしまいます。例えば、フリーレント制度や敷金礼金をゼロにするなど、家賃の値下げ以外にも、様々な空室対策があります。家賃の値下げは、最終手段。空室対策だからと言って、いきなり家賃の値下げを提案してくる管理会社は、あまりおすすめできません

賃貸管理会社のビジネスモデル

管理費

賃貸管理会社の仕事内容は、入居者のアフターフォローがほとんど。入居者募集業務もありますが、入居者の住環境を整えることをメイン業務としています。

そんな賃貸管理会社は、どうやって収益を得ているのでしょうか。賃貸管理のことを深く知るためにも賃貸管理会社のビジネスモデルについてみていきましょう。

管理業務ごとに報酬をもらうケース

管理契約の中には、依頼された業務だけをこなし、固定費用を受け取るという契約があります。主に、ビルメンテナンス会社が、このビジネスモデルで運営しています。

物件の収益性に左右されず、仕事分だけ報酬を要するというシンプルなパターン。このようなケースは物件の収益性と報酬は比例しませんので、清掃業務や業者の発注は行っても、空室対策や入居者募集業務などは、行わないことがほとんどです。

しかし、このような物件管理をメインとする管理会社の中に、収益性を確保するリーシング業務を受け付けている業者もいますが、あまり多くはありません。物件の収益性をあげるための業務に期待したいのであれば、以下に紹介する「収益の数%を報酬としてもらう」業者を頼るべきでしょう。

収益の数%を報酬としてもらうケース

契約している物件の家賃収入のうち、数%を報酬として受け取る管理会社があります。物件の収益性と報酬が比例しますので、空室対策や入居者募集など、利益を上げるための提案を積極的に行ってくれるでしょう。一般的な賃貸管理会社や不動産投資会社が、このような報酬形態を取っています。

例えば、家賃収入の3%を報酬とする契約内容であると仮定します。

  • 家賃収入が月50万円である場合…50万円×3%=月1万5千円の報酬
  • 家賃収入が月100万円である場合…100万円×3%=月3万円の報酬

このように、オーナーの利益が増えれば増えるほど、管理会社の報酬も増加しますので、収益を増やす相談にも積極的に応じてくれます。

仲介手数料を報酬にするケース

仲介とは、貸主と借主との間に入り、契約を取りまとめる業務。つまり、仲介手数料を報酬にする業者とは、入居者募集業務を行う不動産仲介会社です。賃貸契約の場合、仲介手数料は、最大で家賃の1カ月分。つまり、家賃の高い物件への成約数が多いほど、仲介会社の報酬が増える仕組みです。

仲介手数料は、貸主と借主のどちらが負担しても構いませんが、借主側が負担するケースがほとんどです。しかし、空室対策の一環として、借主負担を減らすためにオーナーが仲介手数料を負担するケースも増えています。

文書作成代を報酬としてもらうケース

あまり多くはありませんが、契約書や重要事項説明書などの文書作成代のみを報酬として受け取る場合もあります。これは、個人間の賃貸契約など「不動産会社が仲介に入らない契約」のうち、契約書の作成だけ不動産会社が請け負うケースです。

なかでも重要事項説明書は、素人が作成し交付することはできません。宅建士という有資格者が重要事項説明と呼ばれる物件概要を説明した後に交付しないと、法律違反になってしまいます。そのため、契約自体は個人間で行うけれども、重要事項説明書や契約書の交付は不動産会社に依頼するというパターンも存在するのです。

賃貸管理会社のスタッフについて

賃貸管理業務のうち、有資格者でなければできない仕事がありますなかでも重要なのが、重要事項の説明。前述したように、重要事項説明は「宅建士」と呼ばれる有資格者が行わなければいけないと定められています。

スタッフ全員に資格があるとは限らない

管理会社で働く人全員が宅建士の資格を保有している訳ではありません不動産の法律である「宅建取引業法」では、従業員の5人に1人が、宅建士の資格を保有していればいいとしています。そのため、勤務するスタッフの中には、無資格者もいるのです。

もちろん、仕事の良し悪しは資格の有無とは関係ありません。資格がなくても立派に仕事をこなしてくれる人もいます。ただ、宅建士は不動産の法律を学んだ国家資格者。不動産の仕組みを学んだプロです。そのため、できることなら宅建士の資格がある人に担当してもらえるのが、理想と言えます

社名よりも信頼できる担当者がいる方が大事

不動産会社を知名度で選ぶ人がいますが、それは必ずしも正しい選択肢ではありません。社名よりも担当者の人柄や対応の早さで、依頼する会社を決めましょう

賃貸経営は、担当者のやる気がすべてです。いくら知名度の高い会社に管理を依頼しても、担当者のやる気がないために入居者案内が少なく、連絡も遅い、さらに空室対策の提案をしてこないという担当者も実際にいるのです。

このような担当者に当たってしまった場合は、時間の無駄と判断しても構いません。早めに担当者の変更をお願いしましょう。

まとめ

賃貸管理業務は、ヒト・モノ・カネの3つの業務に分類されます。入居者に快適な住環境を与えるために、様々な業務をこなすのが、賃貸管理会社の役割です。物件の管理状況をオーナーに共有し迅速に対応してくれる業者は、良い管理会社と言えます。

賃貸管理会社は、物件オーナーの収益を守るための大切なパートナー。管理会社を選ぶときは、知名度よりも担当してくれる人を信頼できるかどうかで判断してみてください信頼できる賃貸管理会社と契約できれば、収益アップにつながるでしょう。