
資産運用には多くの手段がありますが、安定した収入が期待できるという理由で不動産投資が注目を集めています。
不動産投資は運用する物件によってマンション投資やアパート投資などに分かれます。さらにマンション投資は、分譲マンションと区分マンションに分かれますが、どんな違いがあるのでしょうか?
この記事では、分譲マンションと区分マンションにどんな違いがあるのか、マンション投資の特徴や区分マンションの選び方なども解説します。
分譲マンションと区分マンションの違い
不動産投資は運用する物件によって、マンション投資やアパート投資、戸建投資など呼び名が異なります。マンション投資は、分譲マンションと区分マンションに分類されますが、両者の違いがよく分からないという人も多いのではないでしょうか?
違いが分からないままでマンション投資を始めると、トラブルに発展する可能性があるため、違いをしっかりと理解することが重要です。分譲マンションと区分マンションの違いについて詳しく見ていきましょう。
分譲マンションは居住用
分譲マンションとは、居住用マンションのことです。分譲マンションの分譲とは、分割譲渡の略称で、1棟のマンションを1戸ずつに分割して販売していることを意味します。
いくら1戸ずつに分割して販売していると言っても、最低でも数千万円の購入資金が必要です。しかし、分譲マンションは所有者自身が居住することを目的として購入するため、購入資金が不足する場合は、金融機関の住宅ローンを利用します。
また、分譲マンションの所有者は、日常の管理に必要な資金を補う管理費、設備の耐用年数に応じて定期的に行われる修繕費用を補う修繕積立金を負担します。
区分マンションは投資用
区分マンションとは、投資用マンションのことです。分譲マンションの場合は、所有者自身が居住することを目的として購入しました。
しかし、区分マンションの場合は、所有者自身が居住することを目的としているのではなく、賃貸を希望する人に貸し出すことを目的としています。そのため、購入資金が不足していても居住目的ではないため、住宅ローンは利用できません。
購入資金が不足する場合は、住宅ローンよりも金利が高く、返済期間が短くなりやすい不動産投資ローンを利用することになります。
「分譲マンションとは違い、管理費や修繕積立金は入居者負担になるの?」と気になった人も多いかもしれませんが、これらの費用は全て所有者負担です。
分譲マンションと区分マンションの呼び名を分ける背景には、区分マンションを誤って自身の居住用として購入することを防ぐという理由が挙げられます。
分譲マンションを購入しても賃貸経営を行うことは可能ですが、区分マンションを購入しても借主がいると自身の居住用として使用できないので注意しましょう。
区分マンション投資の特徴
生活費の足しや老後に備えるために、資産運用を検討している人も多いと思います。しかし、資産運用と一口に言っても、株式投資やFX、不動産投資など数多くあるため、どの投資商品を選ぶべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
資産運用はリスクを伴うため、失敗を未然に防ぐには、特徴をしっかりと把握しておくことが重要です。区分マンション投資の特徴として、以下の8つが挙げられます。
- 融資を受けやすい
- 初期投資を少なく抑えられる
- 経営に失敗するリスクが低い
- 選べる物件数が多い
- 流動性が高く出口戦略を選べる
- 大きな利益は期待できない
- 空室リスクが高い
- 修繕や建て替えは他の入居者の同意が必要
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
融資を受けやすい
区分マンション投資では、安定した収入が期待できる、取得した区分マンションの資産価値が安定しているため、金融機関から融資を受けることが可能です。
区分マンション投資を始める際は、区分マンションを購入する必要があるため、多額の資金が必要です。そのため、自己資金が少ないという理由で、区分マンション投資を諦めている人も多いと思います。
しかし、区分マンション投資は、株式投資やFXのように利益が得られるかどうか不確実ではありません。入居者さえいれば安定した家賃収入が期待できる、担保となる区分マンションの資産価値が安定しているため、金融機関の融資を受けられる可能性が高いと言えます。
そのため、自己資金が少ない人やなるべく手元資金を残しておきたい人も、融資を利用すれば区分マンション投資を始める際のハードルが低くなるでしょう。
初期投資を少なく抑えられる
1棟マンションと区分マンションを比べると、1棟マンションは購入資金が数億円必要ですが、区分マンションは数千万円と少なく抑えられます。
不動産投資は、金融機関の融資を受けやすいというメリットがありましたが、いくら融資を受けやすいと言っても数億円の融資を受けることは容易ではありません。
1棟マンションはある程度の自己資金が必要になるため、区分マンションより投資のハードルが高いと言えます。
区分マンションは1棟マンションよりも初期投資を少なく抑えられるため、不動産投資の知識や経験が少ない人でも始めやすいと言えるでしょう。
経営に失敗するリスクが低い
区分マンション投資では、1棟マンション投資よりも投資金額を少なく抑えられるため、経営に失敗するリスクを低く抑えることが可能です。
1棟マンション投資は区分マンション投資よりも投資規模が大きいため、より多くの投資資金を必要とします。そのため、金融機関から受ける融資も区分マンション投資より多くなります。
金融機関から受ける融資が多くなった場合、空室率が低ければ問題ありませんが、空室率が高くなると返済に支障が生じる可能性も高まるので注意が必要です。
空室期間が長引いた場合は、給料や貯金を返済に充てることになりますが、限界があります。最終的にマンションを売却して返済に充てなくてはならない可能性も。
区分マンションは投資資金を少なく抑えられるため、経営に失敗するリスクを抑えられます。リスクを抑えながらマンション経営を行いたいという人は、区分マンションを選んだ方が良いでしょう。
選べる物件数が多い
区分マンション投資を始める際は、区分マンションとして売り出されている物件だけでなく、分譲マンションとして販売されている物件も選べるのが特徴です。
1棟マンション投資を始める際は、1棟マンションとして売り出されている物件から選ぶことになります。立地条件の良いまたは収益性の高い1棟マンションが見つからなかった場合、自分で土地を購入して建物を建てるという選択肢もあります。
しかし、自分で1棟マンションを建築することになった場合、土地の購入費用に建物の建築費用が上乗せされ投資額が大きくなるので自分で建築する人はそこまで多くありません。
通常は市場に売り出されている物件から選びますが、選択肢が少ない1棟マンション投資よりも選択肢の多い区分マンション投資の方が条件の良い物件を見つけやすいでしょう。
流動性が高く出口戦略を選べる
区分マンションは1棟マンションよりも流動性が高いだけでなく、出口戦略がいくつもあるのが特徴です。
1棟マンションは価格が高く、売却対象が不動産投資家のみと限られるため、簡単には買い手が見つかりません。
しかし、区分マンションは1棟マンションよりも価格が安く、借主がいれば投資用物件として、借主がいなければ居住用物件として売却できるため、買い手が見つかりやすいと言えます。
また、区分マンションは、借主がいない状況では自身の居住用としても使用できるため、出口戦略の多さが大きなメリットと言えるでしょう。
大きな利益は期待できない
1棟マンションと比較すると、区分マンションは大きな利益が期待できないというデメリットが挙げられます。
1棟マンションは部屋数が多く、大きな不動産収入が期待できます。しかし、区分マンションは基本的に1部屋のみの運用となるため、大きな不動産収入が期待できません。
区分マンション投資で得られる不動産収入を増やすためには、所有物件の数を増やさなくてはなりません。
生活費の足しや老後の備え目的であれば区分マンション投資でも特に問題ありません。しかし、脱サラして不動産収入だけで生活することが投資目的の場合は、区分マンション投資では不動産収入が不足するため、1棟マンション投資を選んだ方が良いでしょう。
空室リスクが高い
区分マンション投資では、1室だけの運用となるため、空室が生じた場合は得られる家賃収入が全くなくなるというデメリットが挙げられます。
1棟マンション投資の場合、空室が生じても全室空室にならない限り家賃収入を得ることが可能です。しかし、区分マンション投資の場合、複数物件の運用を行っていない限り空室が生じると家賃収入が全くなくなります。
1室だけの区分マンション投資は、投資リスクの高い投資戦略と言えるため、複数物件の運用を行うといったようにリスク分散をしっかり心がけましょう。
修繕や建て替えは他の入居者の同意が必要
区分マンション投資では、外壁の塗装をやり直すなどの修繕や建て替えは入居者の同意が必要で、勝手に行うことはできません。
1棟マンション投資の場合は、建物全体が物件オーナーのものなので、修繕や建て替えを自由に行うことが可能です。しかし、区分マンション投資の場合は、他の区分所有者とマンションを共有しているため、修繕や建て替えを自由に行えません。
修繕を行わない、建て替えを前向きに検討しない区分所有者の多く集まるマンションの場合、空室が埋まらない、買い手が見つからないなど負の遺産になる可能性もあります。
適切な修繕が行われている区分マンションなのか、管理会社がしっかり管理を行っているのか購入前に確認しておきましょう。
区分マンションを選ぶポイント
区分マンション投資を始める際、どのような区分マンションを選べば良いか気になっている人も多いと思います。区分マンションを選ぶポイントとして、以下の6つが挙げられます。
- 利便性の高い土地
- 築年数が浅い
- 間取りや部屋の広さが需要に合っている
- 戸数が多い
- 利回りが高い
- マンション全体の空室が少ない
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
利便性の高い立地
区分マンションを選ぶポイントの1つ目は、利便性の高い立地を選ぶということです。利便性の高い土地とは、以下のような条件に該当する土地を指します。
- 駅からの距離が近い
- スーパーや病院などの施設が近い
駅からの距離が近い区分マンションは、電車を利用して通勤する人や通学する人からの需要が期待できます。また、スーパーや病院などの日常生活に必要な施設が近ければ、車がなくても生活できるため、需要が高いと言えます。
利便性の高い立地では安定した需要が期待できるため、空室リスクを抑えながら不動産投資を行えるでしょう。
築年数が浅い
築年数の浅い物件の方が築年数の経過した物件よりも需要が期待できます。築年数の経過した物件は、経年劣化が進行しているため、建物の外観や設備などが古く、築年数の浅い物件より需要が低くなります。
一方、築年数の浅い物件は設備も新しく、建物の外観もきれいであるため、築年数の経過した物件より入居率を高く維持することが可能です。
また、築年数の経過した物件は、修繕を必要とする部分が多く、修繕費用が多くかかります。しかし、築年数の浅い物件は、修繕がほとんど必要ないため、収益が安定しやすいと言えるでしょう。
間取りや部屋の広さが需要に合っている
間取りや部屋の広さが需要に合っているかをチェックしてから区分マンションを購入するのも重要なポイントの1つです。
例えば、単身者の多いエリアであるにもかかわらず、ファミリー向けの間取りであった場合は需要があまり期待できません。家族連れの多いエリアであるにもかかわらず、部屋がそこまで広くない場合も同様です。
物件価格の安さや利回りだけでなく、間取りや部屋の広さが需要に合っているのかをしっかり確認してから区分マンションを選びましょう。
戸数が多い
戸数の多い区分マンションと戸数が少ない区分マンションのいずれかで悩んでいる人の場合、戸数の多い区分マンションを選んだ方が良いと言えます。
その理由は、戸数の多い区分マンションの方が戸数の少ない区分マンションよりも需要が高いケースが多いためです。
戸数の少ない区分マンションは物件規模が大きいにもかかわらず、戸数が少ないため、負担する管理費や大規模修繕に備えるための修繕積立金などが大きくなります。戸数の多い区分マンションは戸数が多いため、負担する管理費や修繕積立金を抑えることが可能です。
ランニングコストを少しでも抑えながら安定した区分マンション経営を行うには、戸数が多い区分マンションを選ぶことが重要なポイントと言えるでしょう。
利回りが高い
利回りの低い区分マンションは初期投資の回収に時間がかかります。そのため、利回りの高い区分マンションを選んだ方が効率良く初期投資を回収することが可能です。
例えば、物件価格5,000万円で、利回り5%と利回り10%の区分マンションを運営したとすると利回り5%は年間250万円、利回り10%は年間500万円の家賃収入が得られます。
利回り5%は初期投資の回収に20年かかりますが、利回り10%であれば初期投資の回収は半分の10年で済みます。
そのため、利回りの高いマンションを運営することをおすすめしますが、利回りの高い物件は築年数が高いケースが多いので、その他の項目もしっかりチェックしましょう。
マンション全体の空室が少ない
区分マンションを購入する際は、周辺の賃貸物件の空室率やマンション全体の空室率を確認しておくことが重要です。
周辺の賃貸物件の空室率が低い場合は、賃貸需要の高いエリアと考えられるため、賃貸経営を始めても安定した家賃収入が期待できます。
しかし、いくら周辺の賃貸物件の空室率が低い場合でも、購入を考えている区分マンションの空室率が高ければ意味がありません。
購入予定のマンション空室率も低ければ、人気の高い物件であることが分かるため、さらに安心して賃貸経営を始めることが可能です。そのため、区分マンションを選ぶ場合は、周辺の賃貸物件の空室率と購入予定の物件の空室率を確認してから購入しましょう。
まとめ
株式投資やFXなどと比較すると、リスクが比較的低く、安定した家賃収入が期待できる不動産投資。生活費の足しや老後に備えるために、マンション投資を検討している人も多いと思います。
マンション購入を検討している人が居住用と投資用を間違えないように、居住用を表す分譲マンションと投資用を表す区分マンションに大きく分かれています。
区分マンション投資は、管理会社に管理を委託すれば、物件オーナーは初期投資の負担だけで手間と時間をかけずに家賃収入を得ることが可能です。しかし、不動産収入増加やリスク軽減のためにも管理会社任せにせず、自分自身も積極的に経営に参加しましょう。