【管理会社の変更手順】アパートのオーナーが知っておきたい4つのステップを解説

投稿日2020/08/27
更新日2020/10/20
管理会社

賃貸マンションや賃貸アパートなどの物件オーナーの中には、賃貸物件の管理にかかる手間を軽減するために、管理会社に管理を委託している人も多いと思います。

しかし、管理会社に管理を委託しているにもかかわらず、空室がなかなか埋まらない、対応が悪いなどの理由で管理会社の変更を検討している賃貸オーナーも多いのではないでしょうか?

この記事では、管理会社を変更する際の手順や押さえておくべきポイントなどを解説します。

アパート経営では管理会社のサポートが不可欠

管理会社変更

マンション経営やアパート経営などの賃貸経営を行っている大家さんの中には、自分で管理を行っている人もいます。自分で管理を行う場合は、以下のような業務を行う必要があります。

  • 入居者の賃貸借管理
  • 建物の維持管理
  • トラブルやクレーム対応

入居者の賃貸借管理には入居者募集や賃料徴収、賃貸契約更新の手続き、建物の維持管理には日常清掃や設備の日常点検、経年劣化の修繕などが挙げられます。他にも、鍵が開かなくなった、給湯器が壊れた、近隣住民の騒音または異臭などのトラブルやクレームの対応なども業務に含まれます。

管理の知識がある人や退職していて十分な時間を確保できる人は自分で管理を行っても問題はありません。しかし、それ以外の人が自分で管理を行う場合、入居者満足度の低下による空室増加、適切な修繕が行われないことによる資産価値の下落などが生じるので注意が必要です。

安定した賃貸経営の継続には、管理会社のサポートが必要不可欠と言えるでしょう。

アパート経営で管理会社を変更する手順

管理会社サポート

安定した賃貸経営の継続には、管理会社のサポートが必要不可欠と言いましたが、管理会社に管理を委託していれば安心というわけではありません。管理会社の中には、空室対策が疎かでなかなか空室が埋まらない、契約内容通りの管理業務をしっかりと行わない管理会社もあります。そのような管理会社と委託契約を締結していても、無駄な支出が増えるだけなので、管理会社を変更した方が良いと言えます。

管理会社を変更する場合は、スムーズに変更する、変更時のトラブルを未然に防ぐためにも、手順を事前に把握しておくことが重要です。管理会社変更の手順は以下の通りです。

  1. 複数の管理会社に見積もりを依頼する
  2. 新規契約と解約通知を並行して行う
  3. 賃貸管理会社間で引き継ぎを行う
  4. 入居者に管理会社変更を通知する

それぞれの変更手順を詳しく見ていきましょう。

①複数の管理会社に見積もりを依頼する

管理会社を変更する際、まずは複数の管理会社に見積もりを依頼することから始めます。

管理会社に管理を委託した場合は、管理会社に報酬を支払わなくてはなりません。管理会社に支払う報酬は決まっていないため、管理会社が自由に設定できます。

不動産会社によって報酬が異なるため、業務内容が全く同じ場合は報酬が低く設定されている管理会社を選んだ方が費用を抑えられます。そのため、管理会社を変更する際は、複数の管理会社に見積もりを依頼しましょう

②新規契約と解約通知を並行して行う

複数の見積もり結果から変更する管理会社を決定した後は、変更先の管理会社との新規契約と現在の管理会社との解約手続きを並行して行います。

現在の管理会社との解約手続きは、解約通知を管理会社に行うだけです。しかし、解約通知を行ったからと言って、すぐに解約できるわけではありません

解約通知から3カ月と委託契約書に定められている場合には、3カ月経過後に新しい管理会社に管理が引き継がれます。管理会社によって委託契約書の内容が異なるため、委託契約書の内容を事前に確認しておきましょう。

③賃貸管理会社間で引き継ぎを行う

新規契約と解約通知を行った後は、新旧管理会社間で以下のような引き継ぎが行われます

  • 鍵の引き渡し
  • 賃貸契約書の引き渡し
  • 法定点検書類の引き渡し
  • 保証会社の引き継ぎ
  • 管理費の精算

新旧管理会社間での引き継ぎは、双方の管理会社と担当が行うものなので、不動産経営を行う物件所有者は特に何もすることはありません。

しかし、適切な引き継ぎが行われていない場合、後でトラブルに発展する可能性があるため、しっかり引き継ぎが行われているか確認しておきましょう。

④入居者に管理会社変更を通知する

新しい管理会社に管理が引き継がれると、入居者は新しい管理会社に問い合わせや入金などを行うことになります。そのため、新旧管理会社の引き継ぎが完了した場合、管理会社が変更になることを入居者に伝えなくてはなりません。

入居者への通知がきちんと行われていない場合、変更前の管理会社の口座に家賃を入金する、問い合わせを行うなどのトラブルに発展する可能性があります。管理会社の変更を確実に入居者に通知するには、ポスティングや掲示板への掲示だけでなく、入居者に直接会って伝えた方が良いでしょう。

アパート経営で管理会社を変更する際の注意点

管理会社を変更する際は、手順を知っておくことも重要ですが、注意点を押さえておくことも重要です。

管理会社を変更する際の注意点として、以下の3つが挙げられます。

  • 家賃の振込口座が変更になる
  • 家賃保証会社との契約が切れる可能性がある
  • 引き継ぎがうまく行われない可能性がある

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

家賃の振込口座が変更になる

自分で管理を行う場合はオーナーの指定する口座に家賃を入金してもらいますが、管理会社に管理を委託する場合は一度管理会社の指定する口座に家賃を入金してもらいます。

そこから管理会社に支払う報酬が引かれて、残った分がオーナーの口座に振り込まれますが、管理会社の変更にあわせて家賃の振込口座も変更になります

変更が行き届いていない場合、変更前の管理会社の口座に入金してしまい未納扱いになる、振り込まれたお金を戻してもらうのに時間と手間がかかる可能性があるので注意が必要です。

家賃の支払い期日が近づいたタイミングで再通知するといったように、トラブルを未然に防ぐ対策を練っておきましょう

家賃保証会社との契約が切れる可能性がある

賃貸契約を締結する際は、入居者が家賃を滞納した場合でも回収できるように、賃貸契約書に保証人の名前と連絡先、住所を記入してもらいます。しかし、保証人を確保できない人もいるため、保証人の代わりに家賃保証会社を保証人にするケースが増えています。

入居者が家賃を滞納した場合は、家賃保証会社が入居者の代わりに家賃を支払ってくれますが、管理会社を変更すると家賃保証会社との契約が切れる可能性があるので注意が必要です。

保証契約が切れてしまうと、再度保証契約を締結しなければ家賃滞納リスクが高くなります。管理会社を変更する際に家賃保証会社との契約はどうなるのか、再契約が必要になった場合の保険料は誰が負担するのかを明確にしておきましょう

引き継ぎがうまく行われない可能性がある

管理会社の変更時には、新旧の管理会社間で鍵や賃貸契約書、法定点検書類の引き渡しなどの引き継ぎが行われますが、必ず引き継ぎがうまく行われるとは限りません。

引き継ぎがうまく行われなかった場合、鍵や賃貸契約書、法定点検書類が見つからないなどのトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

「全てを管理会社が行ってくれるので自分は関係ない」と丸投げするのではなく、賃貸経営の主体はオーナーだという自覚をもって、適切な引き継ぎが行われているか確認しましょう。

アパート経営で管理会社を変更する主な理由

アパート経営を行っている大家さんの中には、どんな条件に該当したら管理会社の変更を検討した方がよいのか気になっている人も多いと思います。

アパート経営で管理会社を変更する主な理由として、以下の4つが挙げられます。

  • 相談しても担当者の対応が遅い
  • 入居者の要望に応えない
  • 空室がなかなか埋まらない
  • 管理委託費が高い

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

相談しても担当者の対応が遅い

管理会社の担当者に空室対策や修繕などの賃貸経営に関する相談をしても、なかなか電話に出ない、折り返しの電話が遅い、返答までの時間が長いなどの問題点はありませんか?

物件オーナーへの対応が遅い担当者は、物件オーナーだけでなく入居者に対しても対応が遅い可能性が高いと言えます。

管理会社の担当者の対応が遅れた場合、建物の資産価値が低下する、入居者満足度の低下で空室率が高くなるなどの可能性があるので注意が必要です。

入居者の要望に応えない

鍵が開かなくなった、給湯器が壊れたといったトラブル、近隣住民の騒音または異臭といったクレームに対する要望が入居者から出ていてもすぐに応えない担当者もいます。

このような担当者に管理を任せていると、入居者満足度が低下して、空室が増えて賃貸経営の継続が困難になる可能性があるので注意しましょう。

空室がなかなか埋まらない

管理会社の中には、空室が生じていても「時期が厳しい」といった理由でなかなか空室対策を積極的に行わない管理会社もあります。

空室が生じた場合、管理会社に支払う管理委託費は空室の増加と共に減少しますが、その他の支出は変わりません。その結果、キャッシュフローが悪化します。

空室が理由で返済が継続できなくなり、所有物件を手放してローン返済をしなければならない可能性もあるので注意が必要です。

管理委託費が高い

管理委託費は家賃収入の5%や10%など、管理会社ごとに大きく異なります。業務内容に大きな違いがないにもかかわらず、管理委託費が高く設定されている場合はキャッシュフロー悪化の要因となるので注意が必要です。

管理会社の変更を検討する理由は、管理会社の対応に問題があるケースだけに限られません。支出削減を目的としているケースもあるので覚えておきましょう

アパート経営で管理会社を選ぶポイント

空室対策

管理会社の変更時に、しっかりと管理会社を選ばないと同じ失敗を繰り返す可能性があるので注意が必要です。管理会社を選ぶ際は、以下の3つのポイントを押さえておくことが重要です。

  • 担当者の対応が迅速で丁寧
  • 空室に対する提案力が高い
  • 管理委託費と業務内容が釣り合っている

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

担当者の対応が迅速で丁寧

担当者の対応の良さは、不動産賃貸経営を成功へと導くためにも必要不可欠です。そのため、担当者の対応が迅速で丁寧なのかを事前に確認しておくことが重要です。

例えば、電話をかけて出ない場合でもスムーズに折り返しの電話がある、相談内容への回答に時間がかかるようなケースでは「○日以内に返答します」と期限を決めて対応してくれるなどです。

営業担当者と賃貸管理を行う担当者が異なる管理会社もあります。営業担当者の対応に騙されずに、しっかりと信頼できる担当者なのかを確認してから管理会社を決めましょう

空室に対する提案力が高い

管理会社の行う業務の1つに賃貸仲介があります。空室が生じた場合は、速やかに入居希望者を探して賃貸借契約の手続きを行います。

少子化による人口の減少で、立地が良い、新しいなどのプラスの要因がない限り、そう簡単には空室が埋まらなくなっているため、適切な空室対策を行わなくてはなりません。

賃料の値下げを提案する管理会社もいますが、賃料は一度下げると下げた賃料で賃貸借契約を締結することになるため、入居者が退去するまでは家賃収入が減るので注意が必要です。

賃料の値下げではなく、敷金や礼金などの一時的に得られる収入の値下げ、設備を新しくするなど、提案力の高い管理会社を選ぶのも重要なポイントと言えるでしょう。

管理委託費と業務内容が釣り合っている

管理委託費が安く設定されている管理会社に管理を委託した方が、賃貸経営を行う際にかかるコストを抑えることが可能です。そのため、管理委託費の安い管理会社を選ぼうとしている人も多いと思いますが、安さだけにこだわってはいけません。

管理委託費が安い管理会社は、業務内容が限られている、担当者の管理物件が多く管理が行き届いていない可能性があるので、注意が必要です。

管理会社を選ぶ際は、管理委託費と業務内容が釣り合っているのかをしっかり確認することも重要です。

まとめ

安定した家賃収入が期待できることから、生活費の足しや老後の備えとして人気のある不動産投資。

不動産賃貸経営を成功へと導くためには、入居者募集や家賃滞納者への督促、リフォームなど様々な業務をスムーズに行う必要があります。しかし、日中働いている人が多く、賃貸経営の知識が少ない人が多いため、管理を自分で行わず、管理会社に委託する人が多いです。

管理会社に管理を委託していれば安心というわけではありません。管理会社の中には、適切な管理を行わない管理会社もあるため、適切な管理会社に変更することも重要になります