管理会社を解約する手順について!解約する前に考えておくべき2つのこと

投稿日2021/01/08
更新日2021/01/08
管理会社解約

不動産投資のビジネスパートナーとして二人三脚で歩んできた、管理会社。しかし、業務が雑であったり報連相が成り立っていなかったりするケースもあると思います。安くない管理料を支払っているのに、不満を抱えながら契約し続ける必要はありません。

この記事では、管理会社を解約する方法と手順についてご紹介いたします。管理体制に不満を抱いているオーナーさまは、ぜひ参考にしてください。

管理会社を解約する前に考えておくべき2つのこと

契約書

解約する方法自体は、とても簡単です。管理会社に対して、解約の申入れをすれば、解約することができます。また特別な理由も必要ありません。

しかし、問題は「ペナルティの存在」と「解約した後のこと」です。

管理会社との契約を解除しても、賃貸運営は継続していきます。また、契約内容によっては違約金などのペナルティが発生する恐れがあるため、注意しなければいけません。

1.現在の管理状況と契約内容を確認する

スムーズに解約手続きを終えるために、まずは現在の管理状況を確認しましょう。契約内容は、すべて契約書に記載してあります。管理契約書は「賃貸住宅標準管理委託契約書」とも記されている書面です。

契約書の中で確認すべきポイントは、以下の通り

  • 契約の有効期間
  • 解約の申入れ方法
  • 中途解約した場合の違約金の有無

それでは、上記のポイントを詳しく解説していきます。

管理契約の有効期間を確認する

まずは、契約書に記載されている契約期間を確認しましょう。管理契約の有効期間は、一般的に2年であり、この2年が経過すると自動的に契約が更新となるところがほとんどです。

契約期間が終了するタイミングで解約する分には何ら問題はありません。しかし、注意すべきは、契約期間途中での解約です。

契約の中には、期間外の解約に何らかのペナルティを設定しているケースも。そのため、「中途解約が可能か」「中途解約の場合、どんなペナルティがあるか」を確認しておく必要があります。

契約書で解約の申入れ方法を確認する

契約書で確認すべき2つめの点は、解約の申入れ方法です。解約するとき「いつ頃までに」「どのような手続きが必要か」を契約書にて確認していきます。

まず「いつ頃までに」という点ですが、これは解約にかかる期間のこと。この解約申し出は「解約したい月の3カ月前に申し入れが必要」と定められていることが、一般的です。これは、管理業務の引き継ぎや事務作業上、最低でも3カ月の期間が必要であると考えられているからです。

続いて「どのような手続きが必要か」という点については、管理会社にどんな形で解約を伝えるべきかを確認します。解約したいという意思を伝えるだけでは十分ではなく「書面での通知」が必要になることがほとんどです。

違約金の有無や金額を確認する

違約金とは、中途解約した場合のペナルティのこと管理委託契約では、中途解約時に違約金を支払うことがあります。

多くの場合、解約金の金額は「管理手数料の数カ月分」と契約書に記載されています。管理会社の中には、違約金の一括支払いを求められるところもあり、違約金の支払いが遅れると解約できる時期も遅くなることもあるので、この点も管理会社に確認しておきましょう。

2.管理会社を解約した後の管理方法

管理体制に穴が開いてしまっては、入居者に迷惑をかけるだけでなく、収益にも影響が出てしまいます。

管理会社との委託管理契約を解除したあとも、賃貸管理を続けていく予定があるときは、今後の管理方法を考えていきましょう

自主管理に切り替える

自主管理は、オーナー自らがアパートや賃貸マンションの管理を行うということ。入居者の募集から家賃の督促まで、すべて自身で管理する必要があります。

この自主管理は、管理費用が不要である代わりに、管理する労力や時間を要します。知識がないまま管理をはじめると、入居者のクレーム対応に追われたり、スムーズに家賃の回収ができなくなったりすることも。また最悪の場合、空室対策がうまくいかず損失が出る恐れもあるので、計画性をもって管理していくことが必要です。

他の管理会社に委託管理を変更する

自主管理が不安なときは、他の管理会社に委託管理を変更することも考えましょう

管理体制の中には、物件管理をすべてお任せする「全部管理」のほか、管理の一部だけを依頼する「一部管理」とかがあります。例えば、建物の見回りや清掃はオーナー自身で行い、入居者募集や退去手続きなど、契約行為のみをお任せすることも可能です。

良い管理会社にめぐり合うことができれば、これまで管理会社に抱えていた不満を解消できるほか、以前の会社よりも管理の質が向上することも。「現在抱えている悩み」「管理会社に求めること」を書き出し、新しい管理先に求めることを明確にしておきましょう

管理会社をスムーズに解約する手順と注意点

解約手続き

では、管理会社を変更するためには、どんな方法で進めていけばいいのでしょうか。それでは、管理会社との契約を解約する詳しい手順についてそれぞれご紹介します。

管理会社を解約する5ステップ

管理会社を解約するための手順は、主に5ステップ。契約書で現在の管理状況を確認し、今後の管理方法を決定したら、以下の手順に沿って解約を進めてください

ステップ1.新しい管理先を探す

まずは、今後管理を委託する管理会社を探します

先に新しい管理先を探すときは「家賃の振込先」と「現在の保証会社との契約を引き継げるのか」を確認しましょう。保証会社契約を引き継げない場合、場合によっては家賃の振込先を変更したり、再度保証契約の審査が必要になることもあります。

新しい管理会社を選ぶときは、最初から1社に絞らず、いくつか候補をピックアップし、比較検討していきましょう。新しい管理会社を探すときは、地域の動向に強く集客力が高い業者を重視しましょう。昔から地域住民に信頼されている企業であれば、会社規模が小さくても、集客力が高く安心して管理を任せることができますので、管理会社を探すときの参考にしてください。

ステップ2.訪問や電話などで管理会社に解約を申し出る

続いて、管理会社に解約の申し出を行います契約書に記載されている「解約までの期間」や「解約申し出方法」をよく確認し、管理会社に連絡しましょう。連絡方法は、訪問でも電話でも構いません。

仮に管理会社が「解約を認めない」と反論してきても、契約書に則った通りに解約手続きを進めれば、解約は可能です。この契約に基づき解約を行うことを「約定解除」と呼び、例え管理会社の同意が得られなくとも手続きを行うことができますので、安心してください。

ステップ3.解約通知書を作成し提出する

管理会社と互いに納得して解約する「合意解除」であれば、書面の取り交わしが不要なケースもありますが、上記で紹介した「約定解除」の場合、解約通知書が必要になることがほとんどです。

解約通知書は、以下のように作成します。

解約通知書

私は、貴社との間に◯年◯月◯日に締結された賃貸住宅管理委託契約を、管理委託契約書第◯条の規定に基づき、◯年◯月◯日を以って契約終了とさせていただくことを、本書面をもって通知致します。

ステップ4.違約金を支払う

契約書に違約金の記載があった場合、違約金を支払わなければいけません。管理会社によっては、違約金の一括支払いを求められるケースもあります。契約書に記載されている内容は、厳守しなければいけません。契約書に承諾のサインをした時点で、内容に同意したと判断されるため、内容を覆すことはできないのです。

しかし、契約書に違約金の有無が記載されていなかった場合は、違約金を支払う必要がありません。管理会社が請求してきても、違約金の記載がなければ、支払う義務もないので安心してください。

ステップ5.新しい家賃振込先を通知する

管理会社変更と同時に「家賃の振込先」「共益費の金額」も変更になることがあります。入居者にかける負担が多くなると、不信感を持たれてしまいますので、丁寧に通知しましょう。

通知するときは、書面での通知が最適です。管理会社によっては、こうした入居者への説明をすべて行ってくれるところがあります。

管理会社を解約した後に注意すべき4つのこと

ここまで、委託管理契約を終了させる方法についてご紹介してきました。しかし、管理会社を変更したあとも、いくつか確認しておくことがあります。

最後に、管理会社を解約した後に注意すべき4つのことについて解説していきます。

注意点1.繁忙期に管理会社を変更するのは避ける

不動産業の繁忙期は、人の移動が多い1~3月と9~10月。卒業や入学、人事異動がある時期は、賃貸業界の動きも活発なため、解約手続きや変更手続きがスムーズに進まない可能性があります。反対に閑散期となるのは、7~8月と11~12月。この辺りは人の移動も少ないため、丁寧に解約対応してくれる可能性が高いでしょう。

もし、管理会社の解約に緊急性がないのであれば、閑散期に解約できるよう逆算し、早めに解約を申し出ておくのがベストです。

注意点2.管理の引き継ぎがスムーズに行われたかを確認しておく

管理会社に預けていた鍵やクレーム対応の進捗状況など、管理の引き継ぎも忘れずに行いましょう。管理会社の変更であれば、こうした引き継ぎは、業者同士が行うため、オーナーは何もしなくても大丈夫です。ただし、引き継ぎが正常に行われたか管理会社に確認しておくと、なお安心できます。

しかし、委託管理から自主管理に切り替えるときは、預けておいた鍵を回収し、現在対応中のクレーム等を確認しておかなければいけません

注意点3.保証契約が切れないように移管可能かどうかを確認しておく

家賃をスムーズに回収するために、保証契約を締結しているオーナーは、保証会社の変更手続きも必要です。管理会社変更により、契約している保証会社も異なりますので、管理会社の変更と同時に保証会社の新規加入手続きも行わなければいけません。

保証会社との契約が切れてしまうと、家賃保証がなくなるほか、入居者に面倒な手続きを強要するはめになってしまいます。ですので、対策としては、管理会社を変更しても移管が可能かどうか保証会社に確認することが大切です。

注意点4.入居者には管理会社変更のメリットを伝える

現在の管理会社との契約状況によっては、入居者に「家賃振り込み口座の変更」や「共益費の負担」「保証会社との新規契約手続き」などの負担を強いる恐れも出てきます

入居者によっては、こうした対応に不満を抱き、クレームや退去に繋がってしまうかもしれません。

このような事態に陥らないためには、慎重かつ丁寧に対応するのみならず、管理会社のメリットを強く伝えておきましょう

例えば、「管理会社を変更することで清掃頻度が増える」「24時間体制でクレーム対応が出来るようになった」「共益費負担の代わりにwi‐fiを無料で提供する」など、入居者にとってメリットを感じさせるような嬉しい報告も付け加えましょう。

まとめ

様々な理由で、委託管理契約を解除したいと思うシーンは出てきます。解約には様々な手続きを要しますが、管理会社に不満を持ちながら経営を続けていくことは、得策ではありません。

優良な管理会社をパートナーに選べば、収益が安定し、コストカットにも繋がります

手続きの手間や違約金の支払いがネックになることもありますが、10年後や20年後の運用状況を考えながら、管理会社変更などの判断をしていくことも大切です。