管理会社の手数料は高い?委託管理にかかる手数料を解説

投稿日2020/10/01
更新日2020/10/30
管理会社

マンション経営やアパート経営などの賃貸経営を始めようとしている人の中には、管理会社に管理を委託すべきか、自主管理にすべきか悩んでいる人も多いと思います。

また、既に自主管理で不動産経営を行っている人の中には、委託管理への変更を検討している人もいると思いますが、管理会社に委託した場合の手数料は高いのでしょうか?

この記事では、委託管理にどのくらいの手数料がかかるのか、管理会社に委託するメリットを解説します。

管理手数料は家賃収入の5%が相場

不動産投資を始める場合は、マンションやアパートを購入すれば終わりというわけではなく、入居者募集業務や建物管理業務などの管理業務を行う必要があります。

全ての管理業務を賃貸物件のオーナーが行う場合は管理手数料がかかりませんが、管理会社に全ての管理業務を任せる場合は管理委託費という報酬を支払わなくてはなりません。

管理委託費の相場は家賃収入の5%程度と言われており、賃貸運営によって得られる家賃収入が80万円の場合、4万円を管理会社に支払います。宅地建物取引業法という法律には管理委託費の基準が定められていないため、管理委託費は管理会社によって異なります。

サービス内容が充実しているという理由で管理委託費が高く設定されているケースもあれば、特に差がないにもかかわらず高く設定されているケースもあるので注意が必要です。

管理手数料以外にかかる費用

清掃

管理会社に管理を委託する際に支払う費用は管理委託費だけではありません。費用が増えると安定した不動産賃貸経営の継続が困難になるため、どんな費用がかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。

管理手数料以外にかかる費用には、以下のような費用が挙げられます。

  • 仲介手数料
  • 広告費
  • クレーム対応費用
  • 清掃費用
  • 修繕費
  • クリーニング費用
  • 法定点検費用

それぞれの費用を詳しく見ていきましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産投資家の大家さんが所有物件の入居者付け(賃貸仲介)を管理会社に委託して、賃貸借契約が成立した場合に支払う報酬です。

管理業務の業務範囲には入居者付けも含みますが、入居者付けでは賃貸契約の締結や重要事項説明、広告や内覧希望者の対応といった数多くの業務を行います。そのため、管理委託費とは別に報酬を支払わなくてはなりません。

宅地建物取引業法には、仲介手数料の上限は家賃の1カ月分と定められています。借主と貸主の両方から家賃1カ月分の仲介手数料を徴収できるというわけではなく、両方から徴収する場合は合算して家賃1カ月以内に収めなくてはなりません。

手数料を低く設定すれば、他の管理会社との差別化を図れるため、管理を多く獲得するために手数料を低く設定している管理会社もあります。また、管理を獲得するために値下げの交渉に応じてくれる管理会社もあるため、コストを抑えたい人は交渉してみると良いでしょう。

広告費

入居者付けでは、不動産ポータルサイトに物件情報を掲載するといったように、入居希望者に物件情報を広く知れ渡らせる必要があります。その際には広告料がかかるため、管理会社から広告料を徴収されると思っている人も多いのではないでしょうか?

大家さんが管理会社に支払う仲介手数料は、広告費用を見込んで条件が設定されているため、通常の広告であれば広告料を払う必要はありません

しかし、賃貸建物を運用中の大家さんが、管理会社に特別な広告方法を依頼した場合は、別途広告料が発生するので注意が必要です。

例えば、不動産ポータルサイトで上位表示されるようにしてほしい、ネット募集を中心に行う管理会社に新聞にも掲載してほしいとオーナーが申し出た場合などには広告料が発生します。

管理会社の中には、仲介手数料の上限が決まっていることから、大家さんが特別な広告方法を依頼していないにもかかわらず広告費として2~3カ月分の家賃を徴収するところもあります。

また、システム料という名目で手数料を徴収してくる管理会社もいるため、どのような費用が徴収されるのかを事前に確認しましょう。

クレーム対応費用

クレーム対応費用とは、管理会社が入居者のクレームや家賃滞納者への督促などのトラブルに対応した場合に支払う費用です。クレーム対応を管理業務の業務内容に含む管理会社の場合はクレーム対応費用が生じません。

しかし、クレーム対応は管理会社にとっても時間と手間がかかる業務であるため、別途費用を徴収しているところもあります。

管理委託費の安い管理会社に管理を委託すると、クレーム対応が業務範囲に含まれておらず、契約後にトラブルに発展するケースもあるため、管理業務の業務範囲と費用を確認しておきましょう。

清掃費用

管理会社が賃貸物件の見回りの際に行う簡単な日常清掃は、管理業務に含まれるので費用がかからないのが一般的です。一方で、特殊な洗剤や機器を使いながら行う特別洗浄は、別途清掃費用がかかるケースが多いので注意が必要です。

物件の汚れが目立ち、それが原因で入居者満足度が下がって空室が増えているような物件では特別清掃を行った方が良いと言えます。

しかし、それ以外は日常清掃で十分補えるケースが多いため、本当に特別清掃が必要なのか、費用と効果を総合的に判断することが重要と言えるでしょう。

修繕費

築年数の経過した物件は、建物の劣化が進行する、設備が古くなるため、それらを補うための修繕費用が多くかかります

大手の管理会社に管理を委託している場合、自社の修繕部門が修繕してくれるため、速やかに修繕が行われます。一方、地域密着型の規模の小さな不動産会社の場合、それぞれの専門家に委託するため、時間と費用がかかる可能性があるので注意が必要です。

管理会社によっては、修繕が必要なくても売上を伸ばすために修繕を提案してくるケースも。管理会社に全て任せるのではなく、賃貸物件のオーナーもしっかり知識を身につけて積極的に不動産経営に取り組みましょう

クリーニング費用

クリーニング費用とは、入居者の入れ替え時に新しい入居者が気持ち良く入居できるように、床の清掃やワックスがけ、水回りの洗浄などを行う際にかかる費用です。

修繕費は建物の劣化状況や入れ替える設備によって大きく変動しますが、クリーニング費用は退去者の利用期間やクリーニングの規模に関係なく、定額に設定されているのが一般的です。

入居者の入れ替わりが激しく、頻繁にクリーニング費用が徴収される物件の場合、費用負担が重くのしかかります。安定した不動産経営を続けるために、管理会社との契約を見直すことも選択肢の1つと言えるでしょう。

法定点検費用

法定点検費用とは、消防設備点検、貯水槽清掃、簡易専用水道検査、建築設備点検などの各種法律に定められている点検を依頼する際にかかる費用です。法定点検は有資格者が行うため、自社ではなく業者に委託している管理会社もいます。

例えば、消防法17条では、人々が安全に暮らせるように消火器や屋内消火栓などの消防活動上必要な設備が機能しているかを定期的に点検報告しなければなりません。

しかし、賃貸物件の中には、法定点検が必要な設備が設置されていない、物件の規模が条件に該当していないといった理由で法定点検が不要になるケースもあります。

法定点検費用の金額は各物件で異なるため、どのような設備が設置されていて、どのくらいの費用がかかるのかを事前に確認しておきましょう。

管理会社に管理を委託するメリット

専門家

管理会社に管理を委託した場合、不動産投資にかかる費用が増えるため、委託すべきかどうか悩んでいる人も多いと思います。

しかし、委託管理によって得られるメリットは大きいため、委託するかどうかを決める際は、費用負担とメリットを総合的に判断することが重要です。

管理会社に管理を委託する際の主なメリットは以下の3つです。

  • ノウハウを熟知した専門家が対応してくれる
  • 管理にかかる手間を省ける
  • 経営効率を高められる

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

ノウハウを熟知した専門家が対応してくれる

管理会社に管理を委託した場合、ノウハウを熟知した専門家が対応してくれます。自主管理を選んだ場合は、賃貸経営に必要な業務を全てオーナーが行う必要があります。

賃貸経営の知識や経験を有する人が自主管理を行うことは問題ありませんが、そうでなければ対応の遅れやミスによって入居者満足度が低下して、空室が増加する可能性があるので注意が必要です。

特にトラブル対応は速やかな対応が求められます。サラリーマンとして働きながら賃貸経営を行っている場合は、勤務中にトラブルの対応ができません。入居者満足度を高めながら賃貸経営を行うには、専門家の協力が必要不可欠と言えるでしょう。

管理にかかる手間を省ける

委託管理の場合、賃貸経営に必要な業務を管理会社がオーナーの代わりに行ってくれるため、管理にかかる手間を省けます

自主管理の場合は、入居者の募集、退去者の手続きや立ち会い、契約更新業務、家賃滞納者に滞納賃料の請求、クレーム対応、建物の管理や修繕といった多くの業務を1人でこなさなくてはなりません。

しかし、管理を委託すれば手間を省けるため、サラリーマンとして働いている人や他の事業を行っている人は本業に集中できるようになるでしょう。

経営効率を高められる

委託管理の場合は管理にかかる手間を省けるため、購入資金に余裕があれば複数の賃貸物件を運用できます。複数の物件を運用すれば経営効率が高まるため、多くの家賃収入を得ることが可能です。

自主管理の場合は管理に手間がかかるため、購入資金に余裕がある場合でも複数の賃貸物件を運用することは容易ではありません。

複数の物件を運用できなければ、得られる家賃収入にある程度の限界が生じます。そのため、賃貸経営である程度の家賃収入を得たい人は、管理会社に管理を委託することが必要不可欠と言えるでしょう。

管理会社を選ぶ際のポイント

管理会社

管理会社に管理を委託することで多くのメリットを享受できますが、管理会社であればどんな管理会社でも良いというわけではありません。

選択した管理会社によっては、委託管理のメリットをあまり享受できない可能性もあるため、管理を委託する管理会社をしっかり選ぶことが重要です。

管理会社を選ぶ際のポイントは以下の4つです。

  • 管理サービスの内容を比較する
  • 管理手数料を比較する
  • 入居率(空室率)を比較する
  • 担当者との相性を比較する

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

管理サービスの内容を比較する

管理会社ごとに管理業務の業務範囲が異なります。そのため、管理サービスの内容をしっかり比較することが重要です。

例えば、クレーム対応や滞納賃料の請求などのトラブル対応業務が含まれていない管理会社に管理を委託した場合、オーナーがそれらを行わなくてはならない、別途費用を支払わなくてはなりません。

一度契約するとすぐには解約できないため、契約トラブルを未然に防ぐためにも、どのような業務が必要なのか、それらを業務範囲に含んでいる管理会社なのかしっかり確認しましょう。

管理手数料を比較する

管理委託費は上限が決まっていないため、各管理会社で管理委託費は異なります。そのため、各管理会社の管理委託費をしっかり比較しておくことも重要です。

各管理会社の管理サービス内容を比較して管理を委託する管理会社をある程度絞った後は、各管理会社の管理委託費を比較します。

同じ管理サービスの内容であるにもかかわらず管理委託費が高く設定されている場合は、安く設定されている管理会社に委託した方がコストを抑えることができます。

しかし、管理委託費が安く設定されているからと言って、安易に決定してはいけません。管理委託費が安く設定されていても、広告費やクリーニング費用が高く設定されているなど、他の費用が高く設定されているケースもあるので注意が必要です。

管理会社を決める際は、管理委託費だけではなく、他の費用も含めて総合的に比較することが重要と言えるでしょう。

入居率(空室率)を比較する

賃貸経営で安定した家賃収入を得るには、入居率を高く維持することが重要です。そのため、各管理会社の入居率(空室率)を比較することもポイントの1つです。

入居率の高いもしくは空室率の低い管理会社は、空室対策に強い管理会社と判断できるため、空室リスクを抑えながら安定した家賃収入をもたらしてくれます。

空室対策に自信のある管理会社は、入居率(空室率)をホームページに掲載している場合も。しかし、全ての管理会社が入居率(空室率)を公表しているわけではありません。

入居率(空室率)が公表されていない場合でも管理会社に問い合わせれば教えてくれるため、契約前に各管理会社の入居率(空室率)をしっかり確認しておきましょう。

担当者との相性を比較する

賃貸経営は取得した賃貸物件の長期的な運用を目的としているため、管理会社との付き合いは長くなります。そのため、管理会社の担当者との相性を比較することも重要です。

サービス内容が充実している、管理手数料が安い、入居率(空室率)が優れている管理会社に管理を委託しても、担当者との相性が悪ければ意味がありません。

例えば、担当者が席を外していてなかなか連絡が取れない、直接連絡しても折り返しの電話が後日になる、事後報告で自分の裁量で勝手に決断する、クレーム対応に消極的などです。

担当者との相性は本人と直接会って話をしても完全に見抜くことはできませんが、おおよその判断はできます。担当者との相性は、賃貸経営に大きな影響を与えるポイントでもあるため、しっかり担当者との相性も確認しておきましょう。

まとめ

賃貸経営を行う際は、自主管理か委託管理のいずれかを選択することになります。委託管理を選択した場合は、管理の手間を省ける、経営効率を高められるなどのメリットがありますが、委託管理には費用がかかるという点に注意が必要です。

委託管理では、管理会社に管理委託費という報酬を支払いますが、管理会社ごとに金額設定が異なります。管理委託費が安く設定されていても、他の手数料が高く設定されているケースも多いため、総合的に判断することが重要です。

また、管理会社に管理を委託する際は、どの管理会社に委託しても良いわけではありません。管理会社によっては委託管理のメリットをあまり享受できない可能性もあるため、管理会社を決める際は、ポイントをしっかり確認してから選びましょう