「大島てる」の掲載情報を削除したい!削除依頼の方法を解説

投稿日2020/12/08
更新日2021/03/29
大島てる

賃貸経営を行っているオーナーの中には、自殺や事件といった事故が発生して「大島てる」に事故情報が掲載されたという経験をした人もいると思います。

大島てるに事故情報が掲載されているか確認する借主や買主もおり、掲載された場合は契約に与える影響が大きいことから、掲載情報を削除したいと考えているオーナーも多いのではないでしょうか?

この記事では、大島てるの掲載情報の削除依頼はどうすればいいか、依頼を却下された場合の対応策、影響を最小限に抑えながら賃貸経営を行うポイントを解説します。

「大島てる」の削除依頼は1分あればできる

裁判所

「大島てる」とは、日本全国の自殺や他殺、孤独死などの事故や事件などが発生した不動産の情報をまとめているサイトです。

このサイトのおかげで、情報がなかなか表面化しにくい心理的瑕疵の有無を知った上で物件の借主や買主が契約に臨めるようになりました。

しかし、事故情報を掲載されると経営に影響が生じることから、「何とかして削除したい」と考えているオーナーも多いのではないでしょうか?

大島てるに掲載された事故情報は削除依頼が認められれば削除可能です。削除依頼の手続きは複雑ではなく1分あれば簡単に行えます。掲載情報の削除依頼の方法は以下の通りです。

  1. 大島てるにアクセスする
  2. 掲載物件をマップに表示させる
  3. 事故物件の炎のアイコンをクリックする
  4. 「コメントを投稿する」にメッセージを入力する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①大島てるにアクセスする

まず大島てるにアクセスします直接アクセスする人は「https://www.oshimaland.co.jp/」、検索する人はyahooやGoogleなどの検索ページに「大島てる」と入力して検索します

検索結果の中から「大島てる 大島てる物件公示サイト」というページを探してクリックし、ページの左上に大島てるという文字の裏に炎のマークがついたページが表示されればOKです。

②掲載物件をマップに表示させる

ページにアクセスした後は掲載物件をマップに表示させます。ページを開いた最初の状態では日本と韓国、中国などかなり広域の情報が表示されているため、左下の「+」をクリックして地図を拡大します。

具体的な住所や物件名が分かっている場合は、左下にある入力欄に住所や物件名を入力すれば直接掲載物件をマップに表示することが可能です。

③事故物件の炎のアイコンをクリックする

物件がマップ上に表示された後は事故物件の炎のアイコンをクリックします。クリックすると左上部に事故が発生した年月、住所、事故の詳細、投稿年月日などが表示されます。

左下には「コメント」「コミュニティ」「プライバシーポリシー」などの項目がありますが、コメントが選択されているのが一般的です。コメント欄に新聞やニュースから得られた情報が記載されているケースもあるため、内容を確認します。

④「コメントを投稿する」にメッセージを入力する

最後に「コメントを投稿する」にメッセージを入力します。コメントを丁寧に記載しなくても「誤った情報なので削除をお願いいたします」(事実無根の場合)といったように掲載削除を希望していることが伝われば十分です。

サイト運営者が削除依頼のコメントを確認した後は該当物件の情報が一旦非公開となります。その後、事実関係を確認して認められた場合、物件情報がサイトから削除されます

削除依頼をしても必ず削除してもらえるわけではない

大島てるの運営者は削除依頼のリクエストに目を通していますが、事故情報が事実の場合は基本的に削除依頼には応じてくれません。削除依頼に応じてくれるケースとして、以下の2つが挙げられます。

  • 事故物件情報に誤りがある場合
  • サイトの本旨に合っていない場合

大島てるには誰でも投稿できてしまうことから、事実無根の虚偽情報が掲載されていることも珍しくありません。そのようなケースでは、削除依頼を行って事実無根であることを運営者が確認できれば削除してもらうことが可能です。

また、物件内で自殺未遂や事件があっただけで、当事者が亡くなっていないにもかかわらず、事故情報として登録されていることもあります。当事者が亡くなっていない場合には、心理的瑕疵を有しているとは言い切れないため、削除依頼を認めてもらえます。

掲載情報が事実であった場合は削除依頼が認められず、サイトがなくならない限り半永久的に事故情報が残るということを覚えておきましょう

削除依頼を却下された場合は法的手段に出ることも可能

事故情報が事実無根であっても削除依頼を認められなかった、事実ではあるものの何とかして削除したいと考えているオーナーも多いと思います。そのようなケースでは、法的手段に出て事故情報の削除を裁判所に認めてもらうという対策が挙げられます

しかし、法的手段はメリットだけでなくデメリットも伴うため、どのような特徴があるのかをよく理解してから法的手段に出ることが重要です。

裁判所から名誉毀損の仮処分が認められれば削除が可能

名誉毀損(刑法第230条)とは、事実の有無に関係なく人の名誉を毀損した場合は、3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金に処されるというものです。

事実無根の虚偽情報だけでなく、事実であった場合にも名誉毀損が成立する可能性があるのがポイントです。大島てるの事故情報が物件オーナーの名誉を傷つけていると判断された場合、名誉毀損が成立します。

名誉毀損が成立した場合は、大島てるの運営者や投稿者に対して上記の法的な措置をとれる、名誉毀損の仮処分が認められれば投稿の削除も可能です。

事実でも名誉毀損に該当しなければ削除は不可

事実であった場合にも名誉毀損が成立する可能性があると言いましたが、名誉毀損が成立する可能性は低いと言えます。

平成22年大島てるに事故情報が掲載された横浜市鶴見区のオーナーが大島てるを訴えました。実際にこの物件では死体遺棄事件が発生したので掲載された事故情報は事実ですが、「情報が事実であっても名誉を傷つけられたので名誉毀損に該当する」と主張しました。

しかし、裁判では名誉毀損が認められず、物件オーナーが敗訴。名誉毀損が認められなかった理由は、大島てるの事故情報に「公共性・公益性・真実性」が認められたためです。

大島てるに掲載されている情報が事実に基づくものである場合、その情報を得た借主や買主は正しい情報を把握した上で取引できるため、上記3つに該当していると言えます。

掲載情報が事実に基づく場合には、大島てるの事故情報に公共性・公益性が認められる以上、名誉毀損が認められる可能性は極めて低いと言えるでしょう。

敗訴は不利になるので専門家に相談する

「掲載情報が事実でも、名誉毀損が認められる可能性が少しでもあれば法的手段に出たい」と考えるオーナーもいると思います。しかし、敗訴の可能性が高いのであれば、敗訴後の状況が不利になるので法的手段に出ることはあまりおすすめしません。

敗訴した場合、「裁判所から認められた事実」として広く公開される可能性が高いためです。借主や買主の全てが大島てるというサイトの存在を知っているわけではありませんが、敗訴が原因でサイトの存在を知らない人にまで事故物件であることが知れ渡る可能性も。

事故情報を知られることはオーナーにとって致命的なので「何とかしたい」と考えている人も多いと思いますが、独断で法的手段に出るのは危険です。

弁護士や不動産会社などの専門家に相談しながらどのような対策が適切なのかよく考えてから行動しましょう

物件情報を削除できなかった場合の対応策

心理的瑕疵

大島てるに掲載された事故情報が事実に基づくものである場合には、削除はほぼ不可能です。事実を隠すために何らかの対策を練ろうとすることは逆効果であるため、借主や買主に事実をきちんと伝えて、納得してもらった上で契約に臨むことが重要です。

物件情報を削除できなかった場合の対応策として、以下の5つが挙げられます。

  • 心理的瑕疵の詳細を告知する
  • 一度部屋を貸し出して告知義務をなくす
  • 相場よりも価格を下げて賃貸・売却する
  • 建物を解体してから売却する
  • 事故物件を得意とする不動産会社に相談する

それぞれの対応策について詳しく見ていきましょう。

心理的瑕疵の詳細を告知する

心理的瑕疵を有する物件を貸し出すまたは売却する際は告知義務が生じます。告知義務とは、物件オーナーが借主や買主に「自殺や事故があった」「部屋で住民が孤独死していた」などの事故情報を告知する義務です。

告知義務を怠ったからと言って法律によって罰せられるというわけではありません。しかし、契約不適合責任という民法上のルールによって、借主や買主から修理や交換を行う追完請求、損害賠償請求、代金減額請求、契約解除のいずれかを要求される可能性があります。

心理的瑕疵の詳細を告知して、借主や買主が納得した上で契約に臨めば契約不適合責任によるリスクを軽減できます。まずは心理的瑕疵の詳細を告知して、通常通り契約に臨みましょう。

一度部屋を貸し出して告知義務をなくす

事故物件になった場合は告知義務が生じますが、いつ告知義務がなくなるという明確な期間は定められていません。しかし、賃貸であれば2~3年、売却であれば5~6年は告知義務があると考えられています

また、実務でも上記の告知義務の考えに基づきながら対応しますが、賃貸の場合は一度部屋を貸し出すことで告知義務の期間を待たなくても告知義務をなくすことが可能です。その結果、心理的瑕疵の影響を受けなくなります。

しかし、これらの判断は一定のルールに基づいているわけではありません。告知義務の期間を過ぎた、一度部屋を貸し出したにもかかわらず告知義務があると判断されるケースも。

告知義務をなくすために第三者に依頼して一時的に入居してもらう行為は、告知義務をなくす要件を満たしていると認めてもらえない可能性も高いので注意が必要です。どうすればいいか分からない場合は、不動産の専門家である不動産会社に相談した方が良いと言えるでしょう。

相場よりも価格を下げて賃貸・売却する

告知期間の経過や一度貸し出すことによって告知義務がなくなっても、大島てるの事故情報はサイトがなくならない限り半永久的に残るため、借主や買主が見つかる可能性はかなり低いと言えます。

しかし、借主や買主の中には、心理的瑕疵のある物件でも価格が安いのであれば考えるという人も。相場よりも価格を下げて借主または買主を募集すれば、上記のような人たちが名乗りを上げてくれる可能性が高まります。

売却の場合、自殺で2~3割、殺人事件で5割程度を市場価格から値下げする必要がありますが、物件の資産価値や事故状況で値下げの程度は異なるため、一概にいくら値下げすればいいとは言い切れません。

独断で価格を大幅に下げて借主や買主を募集した場合、その条件で決まってしまうと損をする可能性もあるので注意が必要です。適切な価格で借主や買主を募集するためにも、あらかじめ不動産会社に相談することをおすすめします。

建物を解体してから売却する

事故物件を売却する場合、建物を解体してから売却するのも選択肢の1つです。該当する部屋が残ったままだと、心理的瑕疵の影響を大きく受けることになりますが、建物を解体した場合は該当する部屋がなくなることで心理的瑕疵があまり気にならないという人が増えます。

その結果、建物が残っている状態より比較的高く、スムーズに売買が成立する可能性が高いと言えます。しかし、建物を解体して更地にしても、告知義務がなくなるわけではありません。

大島てるに掲載された情報に目を通した買主から、後で損害賠償や契約解除などを求められる可能性もあるので注意が必要です。

売買契約後のトラブルを未然に防ぐためにも、建物を解体した場合も事故物件であったことを買主に伝えましょう。

事故物件を得意とする不動産会社に相談する

事故物件の扱いが得意な不動産会社は、独自の営業網を駆使して、借主や買主を探してくれるため、一般的な不動産会社に依頼するよりスムーズに借主や買主が見つかる可能性が高いと言えます。

また、直接不動産会社に問い合わせた人は、事故物件であることを理解しているので契約後のトラブルに発展するというリスクを抑えることも可能です。

仲介だけでなく、事故物件の買い取りを行う買取業者もいます。買取業者に依頼した場合は、すぐに買い取ってもらえるため、買主が見つかるまでにかかる固定資産税・都市計画税などのコストを抑えられます。

また、買い取りは買取業者との直接的な売買になるので仲介手数料がかかりません。コストを抑えることによって、高く売却したのと同様の効果が得られます。

無駄なコストを抑えながら早く売却したい人は、市場価格よりも安く売却することになりますが、買い取りを依頼するのも選択肢の1つと言えるでしょう。

まとめ

誰でも簡単に物件の事故情報を登録できる「大島てる」。賃貸物件の借主や買主にとっては、心理的瑕疵に関する正しい情報を得た上で契約に臨めることから、売却後のトラブルを未然に防げる重要なサイトとして重宝されています。

しかし、物件オーナーにとっては、心理的瑕疵が周囲に知られることによって借主がなかなか見つかりにくくなる、安く買いたたかれる可能性が高まるため、大島てるに掲載された情報を削除したいと考えている人も多いと思います。

事故情報は削除依頼をかけることで削除できますが、事実に基づく場合には削除できません。削除できるのは虚偽情報に限られますが、虚偽情報でも削除してもらえない場合は法的手段に出て削除を求めていくことになります。

情報が事実でも、法的手段で何とかできると考える人もいるかもしれませんが、逆効果です。独断で行動すると状況が悪化する可能性もあることから、弁護士や不動産会社などの専門家に相談しながら適切な対応策を選んでいきましょう

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